都議会一般質問

6月20日 本会議 とや英津子の一般質問


一般質問動画

1.練馬区の医療過疎について

初めに、医療問題について伺います。
私は、練馬の区議として、長く医療問題にかかわり、区民から相談を受ける中で、区の医療過疎を強く実感してきました。
クモ膜下出血で倒れた方は、区内病院を希望しましたが、板橋に搬送され、ご家族からは、もっと近くに病院があったらという声が寄せられました。
38歳で突然脊髄損傷になり中野区に運ばれた方は、転院先が見つからず、一旦退院。下半身不随なのに、1カ月間リハビリを受けられませんでした。このような事例を初め、多くの区民が練馬の医療に不安を持っています。
実際、練馬区の病床数は、昨年六月現在、10万人当たり290床で、23区平均の約三分の一、最も少ない区です。
指定二次救急医療機関は、都全体と比べて約半分、周産期、小児など多くの医療機能が低い状況が長年続いています。そのため、入院患者の約七割が区外で受診し、2014年には、妊娠三十週の妊婦さんが破水で救急搬送されたが間に合わず、赤ちゃんの命を助けられなかったという痛ましい事故も起きました。
大地震では、負傷者五千四百人、うち重傷者600人と想定されているのに、災害拠点病院は二カ所しかなく、重症の負傷者千人当たりで都平均の半分以下です。
25年後には高齢者人口20万を超えるといわれるもと、回復期、慢性期病院も少なく、練馬の医療過疎は極めて深刻です。
練馬区と区議会は、都の保健医療計画改定に当たり、基準病床の引き上げ、回復期、慢性期病床増、三次緊急整備などの意見、要望を上げました。
知事は、計画の冒頭で、誰もが質の高い医療を受けられ、安心して暮らせる東京の実現を目指すと述べています。知事、区や議会からの意見、要望をどのように受けとめ、区の極端な医療資源不足をどう認識していますか。
国の制度に基づき、都は、複数の区市町村をまとめて医療圏域をつくり、ふやせる病床数の上限を決めています。この間、都は、病床の少ない練馬への病床を求められても、事業者ごとに均等に分けてきました。
練馬では、2005年に順天堂練馬病院、2014年に練馬駅リハビリテーション病院、2017年には、ねりま健育会病院を開設しましたが、人口増で、10万人当たりの病床数は1991年の288床とほぼ同じで、現在もわずか290床です。同じ医療圏に属する板橋区が1424床、豊島区572床、北区702床と比較しても、地域内の偏在が顕著です。練馬で十万人当たりの病床を23区平均にするには、約3400床も不足しているのです。
東京都保健医療計画推進協議会改定部会では、部会長が、病床の過不足が自治体ごとに生じているから、何らかの配慮が必要だと述べ、他の委員からも、医療圏内の偏在があるとの認識も示されています。
都は、計画で、都民が必要とする保健医療サービスを、いつでも、どこでも、誰でも必要に応じて適切に受けることができるようにすることが不可欠と記載しています。地域内の病床偏在を解消するため、新増設の申請をした医療機関に、単純に均等に病床を振り分ける方針は改め、地域の実情に応じた対応をすべきです。お答えください。
高齢化を控え、医療と介護の確保は喫緊の課題です。医療関係者からは、高齢者が老老介護やひとり暮らしで入退院を繰り返している状況や、慢性期の受け皿が練馬区に少ないことから区外に行くことになり、地元で暮らしにくくなっているなどの声が届いています。本来、地域包括ケアは、介護と医療の連携が不可欠であり、生活圏域内にそのどちらもが整備されるべきです。
練馬区は、回復期、慢性期の病床は、基礎自治体ごとに整備が可能となるよう都に要望しています。これに対し都は、区市町村の意見などを参考にして、地域に必要な医療の確保を行うと回答していますが、地域包括ケアシステムを構築していく上で、回復期、慢性期病床の役割をどう認識していますか。
都は、計画改定に当たり、地域包括システムの目標を達成するためにも、住まいの近くに医療があることが非常に重要とし、区市町村を支援するという視点を持つと述べていますが、回復期、慢性期の病床の確保について、どのような支援をお考えですか。
三次救急についても拡充が求められています。
練馬区は、高齢化や災害時への対応として、救命救急センターの配置を要望しましたが、都は、東京全域で需要を踏まえて確保するとの回答でした。
しかし、区内で救命救急センターは一カ所もなく、重症患者は他区に搬送せざるを得ず、2014年には1052人が区外でした。
センターの空白地域である練馬、杉並、世田谷を通る笹目通り、環八通りは、特定緊急輸送道路です。この沿線にある順天堂練馬病院は、現在でも三次救急に近い水準で医療提供をしています。救命救急センターになれば、災害時にも多くの重症患者を受け入れることができ、地元の医療機関との連携を図ることで、さらに回復期へのスムーズな移行が可能です。練馬区医療施策検討委員会の提言でも、三次救急の必要性が示されています。
区内医療機関からの申請があれば前向きな検討をすべきですが、いかがですか。

○小池百合子知事答弁
まず、練馬区の医療資源についてのご質問でございました。
お話のように、練馬区が地域医療の充実と病床確保を区政の最重要課題としていること、また、練馬区及び練馬区議会から出されました基準病床数の算定方法などに関しましての要望も十分承知をしているところでございます。
現在、基準病床数は、医療法に基づいて定められております国が示す算定式によりまして、最新の人口統計を用いて、二次保健医療圏ごとに算出をしているものであるわけでございます。
また、我が国の医療制度は、自由開業制、フリーアクセスとなっているわけで、医療圏によりましては既存の病床数との過不足であるとか、同一医療圏内の自治体間で偏在が生じていると、このようにも認識をいたしております。
こうしたことを踏まえまして、現在、二次保健医療圏ごとに地域医療構想調整会議が設置をされておりまして、地域の実情を踏まえながら、病床機能の分化と連携について議論が行われております。
今後の急速な高齢化に対応いたしまして、誰もが住みなれた地域で生活が継続できるようにするためには、各区市町村におきまして、地域包括ケアシステムを構築して、回復期、慢性期などの病床機能を充実することが課題となっておりまして、これは、練馬区においても同様だと、このように思います。
都といたしましては、地域包括ケアシステムの構築に向けました区市町村の取り組みを引き続き支援してまいります。

○梶原洋・福祉保健局長答弁
まず、医療機関の病床の配分についてでありますが、都は、医療法に基づきまして、保健医療計画において二次保健医療圏を単位として国が示す算定式により、最新の人口統計を用いて基準病床数を定めております。
練馬区を含む区西北部保健医療圏など、既存の病床数が基準病床数を下回る圏域については、医療機関からの申請に基づく病床の配分が可能となってございます。
今年度からは、新規開設や増床を希望する医療機関に対して、病床配分に先立ち、圏域ごとに設置する地域医療構想調整会議で、今後担う役割や機能について説明を求め、調整会議では地域の実情を踏まえながら、その妥当性を協議することとしております。
都は、調整会議での協議の結果を踏まえ、基準病床数の範囲内で公平に病床を配分してまいります。
次に、回復期、慢性期病床の役割についてでありますが、地域医療構想における病床機能は、高度急性期、急性期、回復期、慢性期の四つに区分されております。このうち、回復期病床では、急性期を経過した患者への在宅復帰に向けた医療やリハビリテーションを提供することとされ、慢性期病床では、長期にわたり療養が必要な患者を入院させることとされております。
また、これらの病床は、在宅で療養している患者の容体が急変した場合に受け入れる役割も担っていると認識をしております。
次に、回復期、慢性期病床確保のための支援についてでありますが、都は、二次保健医療圏ごとに、医療機関、医療関係団体、区市町村、保険者等の代表者から構成される地域医療構想調整会議や在宅療養ワーキンググループを設置し、地域の医療資源等の現状を把握した上で、医療機関が自主的に病床の機能分化や、医療連携を進めるための課題や今後の取り組みについて検討を行っております。
また、地域で不足する病床機能への転換や病院間の情報共有など、地域の医療機関の実情に応じた取り組みを地域医療介護総合確保基金を活用して支援をしております。
次に、三次救急医療体制についてでありますが、救命救急センターは、重篤な救急患者に対して高度な医療を総合的に提供する医療機関であり、都では、都内全域を一つの圏域として整備を進め、現在26カ所指定をしております。
指定に当たりましては、集中治療室等の施設整備や、必要な診療科目に対する人員配置など、重症患者を受け入れるための体制や能力を有することを要件としており、申請を受けた場合には実地調査を行い、施設設備や重症患者の受け入れ実績を確認した上で指定することとしております。

2.保育施設での死亡事故等について

次に、認可外保育所について伺います。
2016年3月に、大田区の認可外保育施設で起きた生後6カ月の赤ちゃんの死亡事故について、検証委員会の報告書が発表されました。
この事故では、都が毎年の立入調査の中で、常時複数の保育従事職員が配置されていないことや、保育の有資格者の数が基準を満たさないことなどを把握しておきながら、改善勧告を出したのは死亡事故の後でした。改善意欲が見られたから勧告しなかったといいますが、有資格者の配置や乳幼児突然死症候群への配慮という肝心かなめのところが、少なくとも三年間満たされないままであったのです。
意欲があってもなくても、基準が実際に満たされていなければ命は守れません。認可外保育所の指導監督要綱では、都知事の権限として、緊急の必要があるときは、改善指導、改善勧告、弁明の機会の付与などの手続を経ずに事業の停止または施設の閉鎖を命じることまでできるとされていますが、実際にはそれどころか、多くの問題点があっても勧告も行われなかったのです。
今回の事故は、起きる前に知事の権限を行使すべき事案でした。東京で二度と幼い命を犠牲にしてはなりません、知事の決意を伺います。
事故検証委員会からは、繰り返し改善指導を行っている事業者について、早期に必要な措置が講じられるよう、指摘事項の改善が図られるための方策や区市町村と連携して、改善勧告等必要な措置が講じられるような指導監督の強化に努めることが示されました。今後の都の取り組みについてお答えください。
この事故では、ご遺族のお母さんが園のホームページに、保育士2人と書いてあることを信じて子供を預けました。しかし、事故後に保育士は1人もいなかったことを知りました。一方で、都は調査の中で、有資格者がいないことを知っていたのです。
検証委員会は、都の指導監督状況について、よりわかりやすく情報を公表するとともに、保育サービスを選択する際に、その情報が積極的に活用されるよう周知徹底することを提言しました。
都のホームページを改善するとともに、指導監督を行っている施設の広報を確認して、事実と異なる記載があれば直すように指導するべきです。いかがですか。
都の2016年度の認証保育所を除く認可外施設への立入調査実施率は17.7%、認証は24.3%、認可では10.6%といずれも低く、年一回以上の実施を定めた国の政令や都の要綱に明らかに違反しています。
非常勤の巡回指導チームが20名10班体制で指導助言を行うなどの努力はありますが、これは施設の設備と運営全体を調べる立入調査とは別のものです。
内閣府の発表では、昨年、認可保育園と認可外保育施設で、全治30以上の重大な事故は750件、骨折や唇、歯の裂傷など、前年比の1.5倍に上っています。死亡事故は最悪の事態ですが、それ以外の事故も深刻です。法律や要綱に基づいた年一回以上の立入検査を必ず実施すべきですが、いかがですか。

○小池百合子知事答弁
まずは、保育施設で亡くなられたお子様、そしてご家族の皆様に心からのお悔やみを申し上げたく存じます。
保育施設でこのような事故が発生することは、そもそもあってはならないことでございます。都は、認可外保育施設の保育サービスの質の向上を図って、児童の安全、そして保護者の安心を確保するために、昨年三月から巡回指導を開始いたしておりまして、児童福祉法等に基づきます立入調査も含めて、指導監督を充実強化しているところでございます。
また、今年3月には、東京都教育・保育施設等における重大事故の再発防止のための事後的検証委員会から、第三者の視点の導入によります運営の透明化、事業者が改善を図るための支援、指導監督の強化などの提言をいただいております。これを踏まえまして、都といたしまして、認可外保育施設の質の確保、向上を図るために、福祉サービス第三者評価の導入や認証保育所等への移行の支援、巡回指導を行う区市町村への支援などを進めておりまして、今後とも保育サービスの質の向上に取り組んでまいる所存でございます。

○梶原洋・福祉保健局長答弁
認可外保育施設への指導監督の強化についてでありますが、都は、昨年3月から、巡回指導チームによる指導を開始し、全ての施設に対し、年一回実施をしております。
また、児童福祉法に基づきまして、書面による報告徴収や立入調査等を行っており、その結果、設備及び運営に関する基準に抵触した場合には改善をしております。その後も改善されない場合は改善勧告を行い、それでも改善されない場合は、区市町村と連携し、児童の処遇を確保した上で、施設閉鎖命令等も含め厳正に対処をしております。
今年度からは、認可外保育施設の巡回指導に取り組む区市町村に対する支援も開始しておりまして、今後、本年3月の検証委員会の提言も踏まえ、区市町村と連携しながら指導監督を強化してまいります。
次に、認可外保育施設に関する情報公表についてでありますが、都はこれまで、四半期ごとにホームページで公表していた立入調査の結果等について、今年度から、毎月更新できるようシステムを改修いたしました。
また、本年3月からは、認可外保育施設も含め、子供、子育てに関する施設等の情報を利用者にわかりやすく提供する情報サイト、こぽるを開設し、施設の定員や開所時間等の情報を公表しております。
さらに、巡回指導の実施に当たりましては、施設が開設しているホームページ等についても事前に確認をし、不正確な内容などがあった場合は、訪問時に適切な情報を公表するよう助言を行っております。
最後に、保育施設に対する立入検査についてでありますが、認可外保育施設については、巡回指導により、職員配置や保育内容等に重大な問題が認められた施設や、苦情や通報が寄せられた施設に対して早期に立入調査を行うなど機動的に対応を行っております。
また、認可保育所、認証保育所につきましては、都に加え、子ども・子育て支援法等に基づき、区市町村も指導監督を行っております。
都は、巡回指導チームや区市町村との連携等により、都内保育施設の運営状況を把握し、課題のある施設に対しては、年複数回にわたり立ち入り、重点的に改善指導を行っているところでございます。

3.都市計画練馬城址公園について

次に、都市計画練馬城址公園についてです。
都は、2011年に都市計画公園・緑地の整備方針を改定し、私の地元練馬区では、練馬城址公園に指定されているとしまえん遊園地を優先整備区域としました。
2020年までに事業認可の取得を目指し、ことし1月の実行プランでは、今年度中に整備計画を策定するとしています。地元からは、遊園地を残してほしいという声や、都立公園になるのであればと、歴史や自然を調査し、具体的な提案をされている人たちもいます。
整備計画策定に向けて、区との協議を含め、これまでどのような調査をしていますか。また、今後、住民の声をどのように生かすのでしょうか、お答えください。

○西倉鉄也・東京都技監答弁
練馬城址公園の整備計画策定に向けた取り組みについてでございますが、本公園は、民間の遊園地としまえんを含みます面積約26.7ヘクタールの都市計画公園でございます。現在、計画区域の地形や動植物の分布、文化財の状況等の調査分析などを行いまして、公園に導入いたします機能や施設の配置等を定めます整備計画の検討を進めております。
また、練馬区とは、防災機能の強化やにぎわいの創出といった公園の目指すべき姿などにつきまして意見交換を実施しております。
次に、練馬城址公園の整備計画策定に向けた住民の意見についてでございますが、この公園の整備計画につきましては、東京都公園審議会に諮問し、審議を経て策定いたします。答申の前には、パブリックコメントを実施いたしまして、住民からの意見、提案を募ることとしております。
引き続き、地元区と緊密に連携を図りますとともに、広く都民の意見を聞きながら整備計画を策定してまいります。

4.都営地下鉄12号(大江戸)線の延伸について

最後に、都営地下鉄12号線大江戸線の延伸について伺います。
都は、2016年の交通政策審議会における198号答申を受け、大江戸線初め、都内鉄道など六路線について事業化に向けた検討の深度化を図る方針です。
また、東京メトロの株式配当分約620億円を基金として積み立てることを決めています。今年度は、事業化に向けてどのような調査と検討を行いますか。
練馬区では、光が丘─大泉学園区間への延伸は、交通空白地域の解消と同時に、区内西側地域から都心へのアクセスが容易になり、利便性は飛躍的に向上します。
事業化に向けた検討を行っていると聞いていますが、交通局の見解を伺いまして、質問を終わります。

○佐藤伸朗・都市整備局長答弁
鉄道など6路線の事業化に向けた取り組みについてでございますが、人や物の交流を促し、持続的な成長を実現するには、東京の強みである鉄道を生かし、これを充実させていくことが重要でございます。
都はこれまで、国の答申において事業化に向けた検討などを進めるべきとされた六路線を中心として、鉄道事業者等の関係者と連携し、事業費の精査、採算性などの課題について検討を行ってまいりました。
今年度、都は、検討を深度化するための調査費に加え、鉄道新線建設等準備基金を創設し、鉄道新線整備に対する都の取り組み姿勢を明確に示すことといたしました。
引き続き、課題の検討を進めるとともに、関係者との協議、調整を加速してまいります。

○山手斉・交通局長答弁
大江戸線の延伸についてでございますが、交通局では、国の答申等を踏まえまして、地元区や都の関係局と連携して事業化に関する検討を進めてございます。
その中では、事業化に向けた課題といたしまして、地形や地下埋設物などを考慮した駅やトンネルの構造の検討、延伸に必要な車両の留置施設の整備、収支採算性の確保等が必要であるとの認識が共有されております。
とりわけ収支採算性につきましては、沿線まちづくりの状況を反映した需要予測等を踏まえ検討を実施しておりますが、さらなる輸送需要の確保に向け、具体的なまちづくりに関するより一層の検討を地元区において進めていく必要があると考えております。
今後とも、地元区や関係局と連携し、事業化について引き続き検討をしてまいります。

PAGE TOP