駆けある記

原発問題と外環について

 区議会第3回定例会では、脱原発や税と社会保障の一体改革、生活保護について、区長の基本姿勢を質しました。
 また、国民健康保険、練馬光が丘病院、病床確保、外環問題などをとりあげています。
 今回は特に、原発問題での区長の国民感情を無視した、まったく道理のない答弁が明らかになっています。
 また、外環道問題では地域住民から「やめて欲しい」「無駄遣い」などの声があがるもとで、国が着工を強行。
 練馬区はそれに加え都の外環の2(地上部街路)まで追随する姿勢もはっきりしました。
 区の姿勢を象徴する2つの質問について答弁も含め、紹介します。
 脱原発問題について
 脱原発の問題です。
 いま、原発からの撤退を求める国民の強い意志は、マスメディアの世論調査だけでなく、政府が行ってきた調査でも9割と圧倒的多数の国民が「原発ゼロ」を支持し、大飯原発再稼働をきっかけに20万人、15万人と空前の規模で毎週金曜日行われている首相官邸前の抗議行動、それに伴い全国各地に粘り強く広がっている運動などにも明白に示されています。  
ところが、通販生活が行った全国首長に向けた緊急アンケートで、全国の原子力発電所の今後についての問いに対して、志村区長は、「必要な電力の確保、地球温暖化防止などの課題が解決されていない中で、安全性を確認したうえで当面維持すべき」と答えています。これは、71万区民を代表する区長としては、電力会社や政府にも依然存在する「安全神話」の復活の考えにつながる重大なものであるとともに、練馬区民を含む国民世論を無視するものと言わなければなりません。
 原発事故は、政府事故調報告書でも指摘されているように、施設や設備を破壊するだけでなく、放射性物質の拡散で住民に影響を与え、環境を汚染し、経済活動を停滞させ、引いては地域社会を崩壊させるなど他の分野の事故には見られない深刻な影響を与えるものです。このように、いったん事故を起こしたら取り返しのつかない事態を引き起こすものであることを考えれば、原発必要論に立った今度の区長発言が、いかに原発の恐ろしさから目をそむけ現実を踏まえないものであるかを自覚するべきです。
 区長は「安全性の確認」と言いますが、もともと原発の技術は未完成のもので使用済み核燃料の処理を含め現段階では、これで安全と言える基準などありません。福島原発の事故が、未だに炉内の状況がわからず事故の原因がつかめていないこと一つをみても明らかです。また、内閣府が新たな地震の被害想定を発表しましたが、南海トラフを震源とするマグニチュード9.1の巨大地震が起きた場合、最悪で32万3千人が犠牲になり、その約7割が津波で犠牲になるなど従来の13倍も上回る想定をしましたが、そうした地域にいくつもの原発が存在することを考えれば、安全性が確認できる状況はまったくありません。区長は現時点でも緊急アンケートと同じ立場なのかお示しください。今こそ、原発からの撤退をまず区自らが決断すること。また、政府に対しても期限を決めての原発からの早期撤退を強く求めるべきです。区長の考えをお聞きします。3点ご答弁ください。
答弁
 安全・安心を基本方針とするわが区にとりまして、原子力発電所の事故は極めて遺憾であり、安全対策を最優先とすべきと考えております。
 従いまして「必要な電力の確保、地球温暖化などのおおきな課題が解消されていないなかでは、安全性を確認した上で当面維持すべき」と考えております。
 いずれにいたしましても、原子力発電につきましては、国のエネルギー政策において取り扱われるべきものであります。現在進められている新たなエネルギー・環境戦略に関する議論の動向を注視しているところであり、現時点で政府に対し撤退を求める考えはありません。

 この質問は、当然区長が答えるべき内容のものです。ところが、答弁は環境部長。
 答弁の中身も、論理的とはいえずおかしい。
 区の見識が問われます。
 外環道の問題です。
区長は所信表明で着工式に出席して、「早期延伸への思いを一層強くした」と述べました。
外環が完成すれば関越から東名高速までの移動が60分から約12分に短縮されるなどのメリットを強調していますが、1兆2800億円の建設費のうち1兆円が税金投入です。未曾有の財政危機や東日本大震災の復興財源を考えれば早期延伸などと常識的にも言えないはずです。
その上区長が外環の2、地上部街路建設の旗振り役までしていることは許されません。
そもそも外環が40年間凍結されてきたのは多くの住宅地や公共施設を立ち退かせ、自然環境の破壊が避けられず、多くの都民が反対してきたからです。
だからこそ練馬区は万が一でも外環が延伸される場合は、「位置と構造の変更」が不可欠の立場を取ってきたのです。
外環が地下構造に変わったことにより、少なくとも住民の追い出しは避けられるようになりました。ところが区長は、青梅街道インターや外環の2の建設を進めろというのです。
これでは何のために地下構造へ変更したのか、まったく意味がない、逆行した考えではありませんか。区長の見解を求めます。
区長は、この間、都と住民との話し合いや住民同士の意見交換の中身を真摯に受け止めるべきです。区民の多数は決して建設に同意していません。それは区のパブリックコメントでも明らかです。関係他区市では練馬区以上に反対が強く、都との話し合いすら始まらない自治体もあります。それを都は大泉インターから1キロ区間を「外環の2」と切り離して、整備するなどと国に事業認可を求めています。明らかになし崩しに進めようというものであり、区長は外環の2の廃止をきっぱり都に要求すべきです。答弁を求めます。
 
【技監】次に、外各環状道路についてお答えいたします。
 青梅街道インターチェンジについて、国や都は、その設置により、環状八号線や大泉インターチェンジの渋滞状況の改善に加え、移動時間の短縮等、利便性の向上が見込まれるとしております。このため、都が平成19年に定めた都市計画や、国が平成21年に定めた校則自動車国道の整備計画において、その設置が位置づけられたものであります。区は、平成19年にまとめた都市計画変更案に対する意見の中で、現在ある大泉インターチェンジを正常に機能させること、生活道路への車の侵入を防ぎ区民の生活環境を守ること、区民生活での円滑な移動を支えることの3点から、目白通りインターチェンジと青梅街道インターチェンジ双方の設置が必要であると述べており、現在もこの考えに変わりはありません。
 また、外環の2について、都は、大泉ジャンクション部約1㎞の区間について、外環本線により分断させる都道ネットワークの確保や関係権利者の生活再建の観点から、本年度早期に都市計画事業認可を取得し、外環本線とあわせた整備に着手することとしております。区はこれまで、関係権利者の生活再建に迅速かつ適切に対応するよう要請してきており、都の取組は評価できるものと考えております。また、都は、大泉ジャンクション部以外の区間について、今後、あり方の複数案を公表し、その後、都市計画に関する都の方針をとりまとめていくこととしております。区としては、外環の2は、区内の南北交通に資するとともに、環境面、防災面等の観点からも重要な都市計画道路でありますので、都市計画の廃止を都に求める考えはありません。
 なお、外環は、首都圏全体の道路ネットワークの形成と区内の深刻な交通問題の解決に資する重要な道路であり、これまでにも増して、早期完成を国等に強く求めてまいります。

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