駆けある記

西武新宿線連続立体(井荻・西武柳沢間)の検討の不自然さ①

こんにちは、日本共産党練馬区選出都議会議員とや英津子です。

頭と気持ちの整理がつかないまま毎日が過ぎています。雨の中、午前中は駒澤公園硬式野球場完成披露式典、午後は環境・建設委員会の傍聴、夕方から地元練馬区の南大泉へ。夜は代表質問原稿作成。

午後から行われた環境・建設委員会では「西武新宿線井荻・西武柳沢間連続立体交差事業」の陳情審査でした。東京都はこの区間を高架方式で連続立体事業を行い、19カ所の踏切解消をはかるとしています。これに対し地元練馬の方々からの陳情は、東京都が提案している素案に対し高架方式を地下方式にあらため、騒音軽減やまちづくりなどの住環境を改善し、立ち退きなどの地域への負担を減らせるようにして欲しいというものです。

都議団は趣旨採択を主張ー継続審査に

委員会には陳情代表者はじめ地元の方々が傍聴にきてくれました。

すべての会派からこの陳情についての質疑があり、継続を主張していました。党都議団からは原田都議が質疑、趣旨採択を主張しました。結果は継続審査。

この結果はとても重たいと思います。都は今年2月、素案を発表して現在環境影響評価書案を策定中、都市計画案の策定を年度内にはおこなう予定で進めています。こうしたときに議会が賛成の意向を示さなかったことは、住民の意志を尊重したものであり、無視することはできません。

この間私たちは、住民の皆さんから寄せられた声やいただいた資料、他自治体への聞き取り調査、専門論文も参考にしながら事務局とともに質問を検討してきました。質疑の中で浮き彫りになった問題や疑問点などを数回に分けてお伝えしていきます。

疑問点その1ー高架方式の選定は西武鉄道がおこなう

今回の連続立体事業について西武鉄道との関係も含めて策定過程を聞くと、都と西武が協定を締結し調査検討、構造形式は事業主体である東京都ということです。

しかし、実態は西武鉄道がコンサルタントに委託して原案をつくり、都はあとで点検・承認する形でつくられています。これでは、西武の都合のいいように試算されていると言われても仕方ありません。また都が積極的に住民要望を盛り込むよう伝えたり、まちづくりの将来像を提示するといったことは困難です。

横浜市相模鉄道の比較

疑問点その2-地下方式の事業比較をおこなっていない

一番の疑問点は地下方式の工法が1つしか考慮されていない点です。上下線のトンネルを一本ずつシールドマシンで掘る単線シールドという工法です。しかしながらシールド工法には複線シールドといって、一つのシールドマシンで大きなトンネルを掘って、その中に上下線のレールを敷設する方法もあります。これなら直径も小さくなることで横幅も狭くなりますから、地上の用地買収が大幅に縮減される可能性も出てきます。画像は住民の皆さんからいただいた資料です。

ところが、都は単線シールドトンネルのみの検討しかしていませんでした。

2千億円前後のお金をかける事業です。調査費に多少のお金をかけても単線か複線かぐらい検討しておかしい話ではありません。実際、横浜市の相模原線では、高架案と複線シールドによる地下化案を比較検討し、結果複線シールドによる地下化案を採用しました。東京都ではなぜこうした比較検討が行われないのか不自然です。シールド工法にも様々な新技術が確立されています。

今回の区間は、同じ西武新宿線の中井野方間の事業と比較しても、事業費が高くなっていますが、その要因の一つに開削範囲が深く広いことがあると聞いています。こういうことも、矩形(くけい)シールドなどの新工法であれば開削の幅や深さを抑えることが可能ではないのか。検討が必要になります。

つまり、様々なシールド工法のなかから、最適な工法の選択もなされていない。シールド工法について東京都は様々な知見と経験を有しているのですから、西武鉄道に対しもっと工法の提案など行うべきなのです。

つづく

 

 

 

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