日本共産党都議会議員とや英津子です。
都議会に付託された陳情の質疑を紹介します。私は文教委員会に付託された「自殺対策をさらに推進することに関する陳情」について質問しました。
この陳情の願意は、28歳の息子さんを自殺で亡くした方が「公教育においてSOSの出し方の教育などを進めて欲しい」というものです。新型コロナウイルス感染症が都民生活に大きく影響を与えているもと、感染症によって失われる命やそれに関連する死もあるため、関連死を増やさないためにも自殺対策の強化を求めています。
陳情者ともお話をさせていただきました。息子さんが亡くなり時が止まったままだそうです。つらい日々を送っていることを話してくれました。だからこそ若者の自殺を防いで欲しいとの思いで陳情したといいます。話を聞き、涙をこらえることができませんでした。
日本の自殺者数は、1998年以降14年連続で3万人を超える状態が続いていました。2012年になって15年ぶりに3万人を下回りました。自殺者減少の年齢層では、主に中高年の自殺が減少したことによるものと言われています。
その一方で、若年層の自殺者数については横ばいであり少子化によってその年代の人口が減少していることを考えればむしろ自殺死亡者率は増加している状況があります。10代から30代のいわゆる青年層の死因は自殺がトップです。こうした状況を背景に、2016年自殺対策基本法が改正されました。
改正された基本法の特徴は、学校の役割として、個人をともに尊重しあい、心理的負担を受けた場合の対処の仕方を身につけさせる教育をおこなう教育が盛り込まれたことだということです。
都内公立学校の自殺者の推移と都の認識を聞きました。
【教育委員会答弁】
都内公立学校に在籍する児童・生徒の自殺者数は、平成27年度16人、平成28年度18人、平成29年度17人、平成30年度が23人となっている。 いかなる理由であれ、子供が自らの命を絶つことはあってはならないことであり、かけがえのない子供の命が失われることは、大変残念なことであると捉えている。
毎年20人に近い命が奪われ、法改正後も減少してないことがわかりました。また、いかなる理由であれ、子どもが自らの命を絶つことはあってはならないという答弁です。
新型コロナ感染でによる一斉休校で、子どもたちは友人にも会えず、公園に行けば叱られ、家庭学習を自主的にやらなければならないという状況が続きました。国立成育医療研究センターの「コロナ×こどもアンケート第二回調査報告書では、全体の72%に何らかのストレス反応がありました。「眠れない」「マスクがいやだ」「目標がない」など自由記述には切実な声が書かれています。
新型コロナの影響は子どもたちにどのような影響があるか?
【答弁】 新型コロナウイルス感染症に伴う長期の休業等の影響により、学習についていけるかという焦りや感染への恐れ、人との関わりから生じる悩みなど、通常とは異なる様々な不安を多くの子供たちが抱えているということを十分に踏まえ、心のケアを行っていく必要がある。そのため都教育委員会は、学校の臨時休業明けに、子供へのアンケート様式を示し、学級担任等が全ての子供のストレスの状況を把握した上で、心配な様子が見られる子供やその保護者には、スクールカウンセラーとの面接を早期に行うよう求めた。また、都内全ての公立学校を通じて、都教育相談センターが24時間受け付けている「東京都いじめ相談ホットライン」等の相談機関の連絡先等を子供や家庭に案内するなど、子供たちが安心して学校に通うことができる環境の充実を図っている。
都教委として自殺対策の取り組みについても聞きました。
【答弁】都教育委員会は、平成29年度に、自殺対策の専門家等による協議を踏まえ、DVD教材「SOSの出し方に関する教育を推進するための指導資料 自分を大切にしよう」を開発し、都内全公立学校に配布した。SOSの出し方に関する教育は、児童・生徒が不安や悩みを抱えたときに信頼できる大人に相談することや、身近にいる大人がSOSを受け止め、支援できるようにすることを目的としている。毎年度、都内全ての公立学校の校長を対象に、「自殺予防教育連絡会」を開催し、DVD教材の効果的な活用方法を紹介するなどして、学校の取組を支援している。
さらに質疑はおこないましたが、主なものを紹介しました。自殺は個人の問題にとどまらず、その多くが「社会構造上」の問題でもあります。この認識については、都教委は正面から答えませんでした。
学校で過度な競争で優劣を付けられたり、規範などにがんじがらめになって本来の自分を認められずに育つのではなく、多様でありのままの自分の存在や価値を尊重され、一人ひとりが人間として大切にされていることを実感しながら成長すること、そして困った時は自己責任ではなく、まわりの人と助け合えば良いと思えることが、大人になってからも本人を勇気づけると考えます。根本的にはそうした学校のあり方の変革を求め、陳情の採択を求めました。
他の会派の議員は、この陳情を質疑しませんでした。しかし賛成はしましたので採択。
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