駆けある記

異例の教育委員会ーパラ学校観戦

こんにちは、日本共産党都議会議員とや英津子です。

都議会第二回臨時会が終わりました。

都議会議員選挙の結果、日本共産党と立憲民主党で都議会定数の4分の1を超え、地方自治法にもとづく議会招集権を得ました。この力を背景に、当初1日のみの予定だった第2回臨時議会の会期を3日間とし、知事出席によるコロナ対策質疑が実現しました。
また、わが党が昨年4月以来繰り返し求めてきた、コロナ対策特別委員会が設置されました。議会のたびに合計11回の動議を提出するなど、ねばり強く求めてきた成果です。専門家を招いての参考人質疑など、特別委員会で大いに議論し、積極的に提案していきます。
特別委員会設置に当たってわが党は、一人会派をふくむ全会派で構成することを求めましたが、自民党、公明党、都民ファーストなどによって否決されました。都議会では、一人会派の議員は、予算特別委員会や決算特別委員会、議会運営委員会への参加が保障されていません。少数意見を尊重する都議会になるよう、日本共産党都議団は、引き続き取り組みます。

詳しい臨時会談話の続きはこちらから。

私はこの議会の質問で教育分野を担当しました。焦点はパラリンピック学校連携観戦です。

【四者協議、学校連携観戦は実施】

8月17日、国際パラリンピック委員会(IPC)、公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会(東京2020組織委員会)、東京都、国の四者は、パラリンピック競技大会の観客数の方針について協議を行いました。

パラリンピックについては、無観客とすることが決まりましたが、一方で学校連携観戦については以下の通りの方針が示されました。

  • 学校連携観戦については、共生社会の実現に向けた教育的要素が大きいことに鑑み、保護者等の意向を踏まえて自治体や学校設置者が希望する場合には、安全対策を講じた上で実施できるようにする。
  • なお、感染状況などについて大きな変化が生じた場合には、速やかに四者協議を開催し、対応を検討する。

なぜ、オリンピックは無観客になって学校連携観戦は中止になったのにパラリンピックは観戦させるのか。

多くの人たちが疑問に思うのではないでしょうか。

【教育委員会臨時会開催】

都教委は四者協議を受けて急遽18日の夜8時から臨時教育委員会を開催しました。この情報を受け、傍聴しました。

現在の競技観戦の希望状況などの報告では、

★現時点で参加意向を示している自治体・都立学校は

(区市町村)8団体 約13万人(都立学校)23校 約2000人 うち特別支援学校は15校。現在も調整中。

【感染対策】

ガイドラインに加え、

・会場内におけるソーシャルディスタンスを保った座席配置

・クールスポット

・暑さ対策用品(遮光ボード、冷却用タオル、熱中症応急対応用品セット)や飲料水の配布

・貸し切りバスを利用する学校への支援として、競技会場近辺での乗降場所の調整や会場までの誘導を実施

・競技に関わる情報を一元的に管理する運営本部を設置し、学校を支援

今回の学校連携観戦は校外学習の扱いです。

校外での活動は、各学校長の判断の下、児童・生徒等の心身の健康等を維持するため、例えば、学年や学級単位の実施、都内における徒歩圏での実施や貸し切りバスでの移動、昼食時間帯を避けた半日の実施等、実施方法等を工夫して行うことができる。

【出席委員全員が反対】

以下に委員からの意見の要旨を紹介します。

山口委員 報告事項ということで賛成・反対を問うものではないが、個人的にはどちらかと言えと言われれば観戦すべきでない。理由は、オリンピックは無観客で学校連携観戦も行わないという決定。この決定は正しかった。当時と比較して感染状況は悪化。市中感染もみられる。オリパラ教育をやってきた、見せてあげたいということはあるが、一方で学校の中で観に行く子と行かない子で差がでる。テレビで観戦し聴き取りや意見を聞いても効果はあると考える。パラリンピックは、障害者や弱者に寄り添うということが大事。いま誰に寄り添うべきか、医療がひっ迫している中で医療従事者に寄り添いこれ以上感染者を増やさないためにどういう行動をとらなければならないのか。子どもたちに教える必要がある。私たち大人が判断を求められている。

遠藤委員 客観情勢が悪い。緊急事態宣言がさらに拡大している。緊急事態をさらに上回る非常事態だ。パラリンピック観戦は子どもたちに効果がある。しかし、今ではないだろう。マイナス面がある。直接的なマイナスは、対策がもろく崩れる。甲子園では出場辞退。間接的な影響は、観戦をすることによるマイナスのアナウンスメント効果。子どもたちはパラリンピック観に行っているではないかというアナウンス。断腸の思いだがテレビを観て。

秋山委員 山口、遠藤委員に賛同。いつでもどこでも感染しうる。リスクを完全に避けるのであれば観戦はしないこと。

新井委員 報道で知った。悩んだ、もちろんパラリンピックを生で観ること、特に希望が特別支援学校であることを考えると、観戦させてあげたい。8自治体は地元であり、施設の中に入って見て、選手の活躍を観れたらどんなによいか。しかし、今現在、自宅療養者、入院調整者3万5千人、検査陽性率24%で、すぐそばに陽性者がいる。13万人が観る可能性があり、あまりに予想できないほどのリスクを考えれば他の3人と同じく、今回はテレビ観戦してオリパラ教育が望ましい。しかも学校での活動に関しては異学年が同じ場所にということになる。今までの基準と矛盾する。

北村委員(メッセージ)当初は緊急事態宣言が延長され子ども観戦が社会にどのようなメッセージを与えるのか。感染拡大を心配していた。特別支援学校の子どもたちがいる。パラリンピックを見せてあげたいという強い思いを持っていると聞いている。観戦して子どもが勇気をもらい、いつかパラリンピックに参加することにつながるかもしれない。機会を奪って良いのかという気持ちも強く感じる。緊急事態の中での観戦、安全対策を十分に実施を。

指導推進担当部長 医療体制、市中感染、人流をおさえることによって災害の状況を脱していかなければならない。それぞれの立場で判断。全体の中で。そもそも実施をするチケットを販売するという前回と違う判断を四者でした。教育観点からチャンスをあげる。希望に応じて提供したいしていこうという判断がされたんだと思う。

それぞれの学校、自治体、児童生徒、保護者の中には是非ともと強く考えている人がいる。減る可能性も十分ある。招致当時からオリパラ教育を実施してきた。こういう状況の中でも観戦したい。万全の体制をとりながら一律に機会を奪うのではなく直前までギリギリに対策をとる。パラ観戦は校外学習という位置づけ。取り扱いは今年春から変わっていない。そのもとで他の校外学習をしている。それに準じて判断。指摘は今までと状況は違う。私もそう思う。状況によってはキャンセル当日まで可能。強い意欲を持ってオリパラ教育を推進。実際体験しなければ経験できないというものがあると信じている学校、保護者、生徒が残っていると思う。ぜひその道を最後まで支援したい。

遠藤委員 見せてあげたい。2000人のうち1500人が特別支援学校。努力は分かるがあまりにも異常である。マイナスの効果は計り知れない。オリンピックとの関係は検証されていない。見に行った子どもたちが矢面に立たされかねない。

藤田教育長 四者協議で道が開かれた。感染対策は大人の責任、子どもの機会を奪っていいのかという議論が高まる。直に観ることで怒る変化に期待したい人がいる。酸素ステーション、宿泊療養ホテル。それぞれ総合的に対策をとっている。

新井委員 四者会議の全てがこれまでのコロナ感染とオリンピックで判断を間違えてきた。酸素ステーションは療養でもなんでもなく入院を待つまでの時間稼ぎ、医者は誰もソリューションとは思っていない。ピークが予想できない。四者会議がこういう決定をしたというが、何の安心材料にもならない。自分たちが教育委員として子どもたちを守る、東京都を守るという責任ある立場で考えれば今はとても四者がいいと言ったから、今まで積み重ねてきたから行かせてせてあげようととは言えない。

教育長 四者協議できまったからではない。あくまでチケットが販売の道が開かれた。

【問われる東京都の姿勢】

この日は、出席委員4名全員がパラリンピック学校連携観戦は中止すべきとの意見でした。この後も、★いくら報告事項とはいえ出席者全員反対である、これまでの教育委員会ではなかったこと。★重く受け止めて欲しい。★今から方向転換すべきではないか。★もう一度考え直す考えはないのか。★インパール作戦ではない。★意見は聞いたが注意してやるではなく。

など中止を求める厳しい意見が出ました。どの意見もただ反対と言っているのではなく、子どもたちのためには観戦せたあげたい、しかし、コロナ感染の拡大が尋常ではない中高いリスクを背負っていくことに賛成しかねるという意見です。

報告事項ではあっても議論が尽くせなければ次回ということもあるが、今回は決まるタイミングなどそういういとまがないと教育長は説明しましたが、最後は通常の了承を得ることができませんでした。

前川喜平氏は、「都教委として学校連携観戦への都立学校の参加の可否や区市町村教委への指導・助言の内容を決めるのだから、これは単なる報告事項ではない。……教育委員五人に教育長を加えた六人の合意で意思決定すべき事項であって、教育長が専権できめてよい事項ではない」「会議運営は法律違反」と述べています。

ここまで異論が出ているにもかかわらず全く方針を変えようとしない東京都教育委員会とはなんなのか。なんのために教育委員がいるのか問われる異例の臨時会でした。

本会議では、オリンピックが無観客で学校連携観戦は中止になったにもかかわらず、パラリンピックも無観客でなぜ学校連携観戦は可能とすることができたのか、の質問に、知事はまったく正面から答えず共同ステートメントの一部を読んだだけでした。これでは都民は納得するわけがない。今からでもパラリンピック中止、学校連携観戦は中止すべきです。

 

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