こんにちは、日本共産党(練馬区選出)都議会議員とや英津子です。
決算特別委員会報告三回目は、としまえん・練馬城址公園のことです。
このテーマも何度も取り上げてきましたが、昨年6月の「覚書」と「練馬城址公園整備計画」の中間まとめが、昨年末に示されので、質問しました。
この間の経緯について
練馬区内の閉園した遊園地としまえん跡地を含む26、7haの土地に計画されている練馬城址公園は、昭和32年(1957年)に都市計画決定された都立公園で、2011年の東日本大震災を受け、22haが優先整備区域として指定されています。遊園地が閉園した昨年は、多くの地元区民、その周辺を含む遊園地ファンなどから惜しむ意見があがってきました。94年間の営業終了後も正面の門にはデコレーションが住民たちによって季節ごとに新しく飾られてきました。避難場所としての機能や園内のプールを残して欲しい、古城はどうなるのか、豊かな樹木にも関心を寄せ、伐採に対しての意見、伐採後の活用についても様々なアイデアが示されています。しかし現在、北側の敷地には西武鉄道の敷地を借りて、現在伊藤忠とワーナーブラザーズによってスタジオツアー施設が建設中です。
遊園地跡には公園ができる予定で動いていましたが、そうはならなかった訳です。こうした経緯があって、スタジオツアー整備の関係者である西武鉄道、伊藤忠商事、ワーナーの三者と東京都、練馬区の五者は練馬城址公園の整備にかかる覚書を締結しています。
昨年6月に締結された「覚書」とは?
都に聞くと、緑と水、広域防災拠点、にぎわいという基本目標の実現に向けた公園整備を、連携、協力して進めることについて、関係者と締結した文書です。と答えます。
しかし、本当に連携・協力して公園整備をすすめるのでしょうか…。
確かに「覚書」には民間事業者を含む関係者は公園整備計画の目的実現のために誠意をもって協力すると記載されています。そして、当時覚書文書に添えられた練馬城址公園区域の画像は、施設のエリアも決まっているようにはとても見えず、この状態で東京都公園審議会に諮問されています。しかし、スタジオツアー施設は整備計画の審議会答申が出る前に整備区域も決まり、既存施設の解体工事にも着工しているのですが、どういうことなのか。聞きました。
これに対し、都は「公園審議会では、覚書やこれに基づく関係者との調整を踏まえて、整備計画が審議されている。」と答えています。
スタジオツアー建設については、昨年も指摘したのですが、2019年10月9日、西武は練馬区に現場調査依頼書を提出し受理されています。現場調査依頼書は、計画を明らかにし、開発上の問題の指摘や法令の指導を受けるものです。そして、その前の9月には、東京都の建築主事にスタジオツアー施設の説明と相談に行っていることが私が提出した文書質問で明らかになりました。つまり都も練馬区も一昨年から建設が分かっていながら都民に明らかにせず、1年近くたってようやく発表し、覚書を締結たということです。しかし、覚書にはスタジオツアー施設の区域も面積も明らかにされていませんでした。公園整備に協力すると書き込んでおきながらスタジオツアーは覚書締結後約3ヶ月で用意周到にされた資料で、住民説明を行い、その後は何度も住民が説明会の開催を求めても、一度も行わず現在に至っています。覚書に書かれている「お互いに協力し練馬城址公園の整備」をするといいながら、スタジオツアー優先でことが進められてきたのではないか。
覚書第5条の2項では「段階的整備」で進めるとしているが、そのタイムスパンは30年以上となります。事実上「優先整備区域」の放棄ではないか。との問いには、
スタジオツアー施設は、覚書により練馬城址公園に求められる機能の実現の一翼を担うことに配慮。運営終了後は都立公園として整備。と答弁しています。
練馬城址公園に求められる機能の一翼を担うと言いますが、たとえば防災機能は私たちが都市整備部の防災課とのレクチャーの中で避難場所としての協議は「覚書」締結にあたり、協議もされていないことが明らかになっています。防災部は避難場所についての協議内容も知らされていません。また、民有地を避難場所として指定するにあたり、協力同意はもらうが、そのことによって所有者の行為に何らの制限を加えることはしない前提と答えています。
覚書第6条の3項では設置可能期間を30年としているが、但し書きで30年以上の使用可能の根拠となります。この但し書きを入れた理由についても聞きました。
答弁は素気なく「合理的な理由による期間変更が生じた場合に備え、協議に応じるとした」というものでした。
つまり、運営期間は長くなるし短くもなる。それは関係者が合意すればできるということです。どうにでもなってしまうのです。都は、「公園整備計画の答申にあたり、土地の歴史・風土、緑豊かな自然を大切にし、多様な主体が関わり、人々が交流しながら公園を創りあげていくという考えの下、本公園のテーマを設定しました。テーマを実現するために「緑と水」、「広域防災拠点」、「にぎわい」という視点から、3つのコンセプトを設定しました。」と述べています。3つのコンセプトとは、[1]豊かな緑と川のせせらぎを感じる中で、人々が憩い、安らぐことのできる空間づくり
[2]人々が迅速に避難でき、地域の防災機能の向上に繋がる拠点づくり
[3]都民に親しまれてきた土地のにぎわいを醸し出し、多様な人々が集い交流を生む空間づくり
の3つです。豊かな緑のエリアである部分が全てスタジオツアーで30年間開園できないし、場合によっては30年以上も整備できない。ということは、優先整備放棄となるのです。
練馬城址公園計画「中間まとめ」について
練馬城址公園の整備計画の「中間のまとめ」が昨年度に出ています。公園全体の整備がいつになるか分からないけれど、少なくとも南側区域は整備が始まります。
中間まとめには、テーマの一つに「多様な主体」を掲げ、公園利用者に加えて多様な人々が関わり、交流しながら公園を創り上げることを目指すと述べています。「多様な主体」とはどの範囲をいうのか。都は、公園利用者、地元町会等の地域団体、NPO等を想定していますが、公園づくりへの住民参加はどのように保障するのかとの質問には、
「整備計画の審議を行った公園審議会は公開され、審議資料はホームページに掲載するとともに、オープンハウスやパブリックコメントにより、都民意見を聴取。今後も、当初開園予定区域等の整備を進めていく際には、工事説明会等により地域への説明の機会を設ける。」と答えました。
ありきたりの答弁ですが、当初開園区域については、計画案の説明の機会をもうける。担当課からの聞き取りでは年末から年始にかけて説明をしたいと話しています。そのやり方については検討中ということです。「多様な主体」である住民とともに公園をつくっていくのであれば、コンクリートしない段階で意見を聞くように要請しました。
古城の塔について
整備計画のパブリックコメントでは、古城の塔について71件の意見が寄せられました。それだけ、住民にとって貴重で大事な建築物ということが分かります。さらに日本建築学会関東支部からの保存活用の要望がきていることが分かりました。この要望について、都はどのように対応したのか聞きました。あわせて近代建築の稀有な存在ともいわれている古城の保存活用について都の見解を聞きました。
「本年3月に日本建築学会関東支部から都に要望書が提出され、同支部の方からご意見を聞いた。古い建物の保存活用には、老朽化や耐震性能等の調査が必要であるなど、課題が多いと考える。」「建物の現状確認が必要と考えておりまして、今後調査方法等の検討を行ってまいります」との答弁。
建築学会の方は直接都庁に要請にきたそうです。こうした動きとパブコメに寄せられた71件の意見が当初撤去するとしていた都の方針を変えさせました。
「練馬城址」の活用も
旧としまえんの中には、歴史的な遺構として「練馬城址」もあるが、これらの遺構についても活用すべきではないか。特に、地下遺構の調査、保存、活用は文化財所管部署等と調整すると回答しているが、どのような調整をおこなうのか。今後のスケジュールについても聞きましたが、整備計画では、練馬城の歴史エリアを設定し、練馬城の地下遺構を保全しながら練馬城址豊島園の開設の歴史を伝えるとしている。掘削工事等が想定される場合には、文化財保護法に基づき適切に対応するという、これまでの都の見解を述べるにとどまりました。
都は、西武鉄道と協定を結び園内の建築物などの撤去と最初の開園区域の整備を行いますが、住民とともに公園づくりをすすめる。この立場にしっかり立ち、事業を進めることを求めて質問を終わりました。
【雑感】
昨日は「としまえんの未来を考える会」の事務局会議でした。刷り上がってきたニュースの配布先の相談や、どんな公園をつくるか、もっともっととしまえんをみんなで考えようと、年内に集会を持つことになりました。ご案内は改めて事務局からある予定です。私もみなさんと一緒に考えたいと思います。
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