こんにちは、日本共産党練馬区選出都議会議員とや英津子です。
COP26が閉幕しました。採択された文書には温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」を念頭に「世界の平均気温の上昇を産業革命前より1,5度に抑える努力を追求すると決意」と明記されました。石炭火力発電は、表現が当初案の「段階的廃止」から後退しましたが、「段階的削減」となりました。しかし、日本政府は2030年以降も石炭火力を使う姿勢を示し、批判を浴びました。
決算特別委員会はちょうどCOP26が始まる時にあたり、環境局質疑で東京都が取り組む「キャップ&トレード」を取り上げました。2020年度から2024年度までは第三期間。
都が取り組む気候変動対策の一つである、「排出総量削減義務と排出量取引制度(キャップ&トレード)」は、排出量が多い大規模事業所を対象に、一定期間での個々の事業所の削減義務量を定めることによる総量削減を目的とした制度です。各企業や事業所が自らの温室効果ガスの排出量をモニタリングして把握することを義務づけることは、排出削減の管理体制を構築するという意味で極めて重要です。EU、中国、韓国では先行して導入されています。
都内大規模事業所のCO2排出量は全体の4割!!
特に大企業は中小企業や個人に比して、より大規模にCO2排出を削減する責任と能力を有しています。都の制度と都のCO2排出削減目標との関係について聞きました。
都内のCO2排出量は、業務・産業部門の排出量が約5割。・温室効果ガス排出の大きい事業所には、率先して削減に取り組む責務があることから、原油換算エネルギー使用量が年間1,500KL以上の大規模事業所にたいして排出総量削減を義務化。削減義務率は、都の温室効果ガス削減目標達成に向けた大規模事業所の目標排出量を踏まえて算定。
業務や産業部門のCO2排出量は都内全体の約5割を占める。都内の大規模事業所の排出量の多さをうかがわせる数字です。しかし、個々の大規模事業所の目標排出量は公表されていません。都民にわかりやすく公表すべきです。
この制度は原油換算エネルギー使用量等の要件に該当する全事業所を対象とした制度です。2019年度末時点の対象事業所数は1,241事業所で、都内事業所に占める割合は0,2%で、2019年度のCO2排出量は1,206万トンで、都内の業務・産業部門に占める割合は約4割になります。都内全事業所が63万事業所なので、やはり排出削減の大きな責任があります。同時に着実に排出量を削減し、総量をへらすことができれば大きな効果が期待できます。
火力発電所はなぜか対象外
東京には品川と大井に二つの発電所があります。ところがこの二つの発電所は制度の対象外です。
対象外となっている理由を聞きました。
答弁は「東京はエネルギーの大消費地であり、都内のCO2排出量を削減するためには需要側でのエネルギー消費を低減させていくことが施策として効果的。このため、キャップ&トレード制度では、オフィスや工場など、産業・業務部門の大規模事業所に対し、CO2排出量の削減を義務付けている。都内に供給される電力の多くが都外の発電所からの供給となっており、都内で消費される電気のCO2排出係数の改善には、都内に電力供給を行う全ての電気事業者の取組が必要であることから、エネルギー環境計画書及び報告書の作成、提出を義務づけ、対策の促進を求めている。」
キャップアンドトレード制度は、対象事業所に期限内での排出量削減を義務付けています。しかし、発電所には報告書の提出は義務づけていても、排出量については削減義務は課していないのです。
この制度は世界各地で導入されていますが、先行してキャップ&トレード制度を導入したEUでは当初から火力発電所が規制対象の筆頭でした。それはいうまでもなく火力発電所のCO2排出量が大きいからです。
品川、大井は石炭火力ではありませんが、都内の使用電力の10%に相当する発電量ということで、いずれにしても相当量のCO2を排出していることはまちがいありません。
世界の水準に照らせば、規制の対象としないことには道理がありません。
2030年、50%削減に向けバージョンアップを
2030年にCO2を50%削減するという目標を持つ東京都。ふさわしく目標設定が必要です。
省エネ再エネともに対策の改善が必要ですが、削減量に占める省エネの割合を聞くと。
「2015年度から2019年度までの第二計画期間においては、99%以上が省エネ対策による削減。主な対策の内容は、事業所の状況に応じて、LED照明の導入や効率的な空調熱源機器の導入など。」
つまり、排出削減対策は事実上省エネが中心なのです。
再エネの可能性について
対象事業所の一割強が都の認定した低炭素電力供給事業者から電気を購入しています。CO2削減効果は約6万2500トン。省エネが99%なので、再生可能エネルギーは1%です。
しかも低炭素電力は、原発も含まれる可能性もあります。そして再エネゼロ%の業者が低炭素電力、熱供給事業者に指定されています。なぜなのかと聞くと。「非化石証書」を利用しているから。
非化石電源には、太陽光・風力・水力・地熱・バイオマスなどの再生可能エネルギーと、原子力発電がありますが、これらの非化石価値を購入している業者であれば、認定する仕組みということはわかりましたが、実態としての再生可能エネルギーを活用することを進めることが重要です。
つづく
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