駆けある記

スキマバイトはニーズに合った働き方かー福祉施設を例に

こんにちは、日本共産党練馬区選出都議会議員とや英津子です。

すっかりイチョウも色づき、自転車で走るのが楽しい日々ですが、インフルエンザも流行っています、お気をつけてください。

決算特別委員会で質問した福祉施設のスキマバイトについて報告します。

【広がる福祉施設のスキマバイト】

福祉施設では、低賃金と職員不足の中でスキマバイトも広がっています。

介護現場で…

福祉職場で働く人たちの中には、スポットバイトいわゆるスキマバイトをしないと生計が成り立たない、有休の日や土日、施設の夜勤明けの日にスキマバイトで働くなど、労働者の実態があります。都は介護職場などの福祉施設で働く人の労働実態や職員の確保の状況の実態について把握しているのでしょうか。

答弁は、「国調査や介護サービス事業者運営状況調査等では、介護報酬等で職員の確保・定着等の状況を把握。福祉人材確保対策推進協議会において、福祉現場の状況を聞いている。」とのこと。

国や都の調査、推進協議会において、福祉現場の状況などは把握しているということですが、問題はスポットワーク、いわゆるスキマバイトについては調査・把握していないことです。都のサービス事業者運営状況実態調査は三年ごとにやっていますが、この調査の2022年度の結果を見ますと、人材不足によるサービス提供への影響という項目があり、例えば特別養護老人ホームの場合、影響があると答えている事業者は67、4%に上っていました。そして職員の過不足状況については、「介護職員(介護福祉士)」が最も不足感が強く、大いに不足・やや不足 が約 8 割を占めていました。介護現場はほんとうに人手が不足している。こうしたところにスキマバイトがはいっているのだろうということがうかがえます。

淑徳大の結城康弘教授は、介護業界のスキマバイトの広がりについて、本来なら正規職員などを自前でリクルートして教育すべきだが、それもできていない。猫の手も借りたい状態で事業者はスキマバイトに頼っていると述べています。タイミーというスポットバイト登録業者の調査では、この事業者に登録するのうち、介護分野の有資格者は、2024年7月に28万5000人を突破しています。

◆日雇い派遣の代わりに生まれたスキマバイト

現在は原則禁止されている日雇い派遣の代わりに生まれたのがスポットワーク、いわゆるスキマバイトです。まさにスキマに入り込むようにして現れた働き方です。

小池知事は、「高齢者介護に携わる人たちが希望を持って働き続けることができる、そんな環境整備も重要であります」と昨年の年頭のあいさつで述べましたが、とてもそんな状況ではありません。スキマバイトについては国も保育分野での調査を開始したようですが、都としても福祉分野も含めた深い調査が必要なのではないかと指摘しました。

◆介護や保育の質にかかわる問題について

福祉職場にスポットワークを導入した時の介護や保育の質にも問題があるのではないか…。

福祉施設のスポットワークはスマホ等で申し込みができ、事前の面接もなく保育園や介護現場で働くことができます。保育園のスポットワークについては、子どもの着替えまで仕事の内容に含まれているが、都としてその実態を把握しているか。また福祉施設のスポットワークについて都の認識を聞くと。

答弁「国は、スポットワークにより採用された保育士の取扱いについて最低基準上の保育士定数の一部に充てることは望ましくないと通知。また、国は多様な人材層の参入促進を図るため、民間事業者のマッチング機能を活用したモデル事業を実施」

保育士については通知が出ているということです。そして、介護については国のマッチング強化モデル事業をおこなっているということですが、先に紹介した結城教授は、スポットワーク自体、替わりで高齢者の生活空間に入ることは信頼が保てず、高齢者に不安を与える可能性があるし、どれだけスキルがあっても初めての施設や高齢者を介護することはリスクがあるとも述べています。実際ある施設では、夜勤中に高齢者の体をマヒしている側を下に横たえてしまい骨折したという事故がありました。こうした実態があって、自治体が積極的に導入を支援するのは問題があるのではないかと考えます。これは指摘をしておきます。

◆国の通知は認可外保育施設を含まず

「保育所等におけるスポットワーク(いわゆるスキマバイト)により採用された保育士の取り扱いについて」の通知は、どこにどのように周知したのか。

答弁「認可保育所や認証保育所等に周知されるよう区市町村に通知」

この通知は認可外保育施設は含まれていません。対象外ということです。本当にそれでいいのか。子どもはどこで育てられても良好な環境で成長する権利があります。認可保育所や都の認証保育所だけは通知で注意喚起はするが、あとは知らないというわけにはいかないと思います。認可外についても都が発出して区市町村まかせにせず、注意喚起をするべきです。

認可外保育施設については通知の対象にならない中、では巡回指導や立ち入り調査を行ってう場合、スポットワークについて、実態をつかみ指導の対象にするなど指導内容のチェック項目に含まれているかも聞きました。

答弁「巡回指導においては、職員配置、保育内容等について、指導・助言。立入調査について、スポットワークは調査項目ではない。」

巡回指導で職員配置や保育内容について指導や助言はするが、立ち入りでもスポットワークのチェックはないということです。これでは認可外はノーマークです。

厚労省の通知は、スポットバイトを保育所に配置されている常勤保育士の代わりに配置するのは望ましくないとしています。しかし、実際は現場で保育士が不足しているため、採用し働いてもらっている例があります。保育の関係者から聞くと必要な戦力として働いてもらっているといいます。私の地元練馬区の認可保育所でも複数の施設でスキマバイトの募集を確認しています。その業務には子どもの着替えの補助なども含まれていました。子どもの成長・発達の過程で性被害は深刻な影響与えます。さらに少なくとも区内3園で恒常的に募集してる可能性があります。認可保育所等に通知をだしているのに守られていなければ、通知が命令ではないにせよ問題だと思います。子どもの育ちにとって保育者が細切れ、いつ来るかわからない、一週間後にはいないなどの状態が情緒に影響を与えるのは明らかです。だから国も通知をだしているのではないでしょうか。

せめて都として認可外保育施設の巡回指導員の増員とスポットワークについても巡回時のチェック項目にいれるべきと求めました。

しかし…、

答弁は「都は、都内全ての各認可外保育施設に対して年1回の巡回指導。認可外保育施設に対する巡回指導は、指導監督基準を踏まえ、指導・助言」とチェック項目にもいれないとのことです。

子どもと日常的に関係のない職員を保育所に配置し保育士と同じ仕事をお願いせざるを得ない実態もあるのだと思います。しかしそれでいいはずがありません。保育士の資格については確認あるが、面接や研修もない保育所が多いです。子どもと二人きりにならないようにと指示があっても、現場から頼まれたらトイレ介助など一対一になる場面もあるなどの声もあります。その日にならないとどんな人がくるかわからないというのはやはり問題があるのではないでしょうか。

◆スポットバイトのような働き方が広がっている背景

スポットワークが増えてきた背景には、保育や介護の職場の賃金が低いことや、長く続かず現場が職員不足になっているという問題があると考えるが、都の見解をうかがいました。

答弁「都は国に対し、事業者が人材の確保を図り、事業運営を安定的に行うことができる報酬等とするよう、繰り返し提案要求。また、宿舎借り上げ支援や保育士キャリアアップ補助、国が必要な見直しを講じるまでの間、居住支援手当の支給に取り組む事業者を支援」

いま、介護現場の報酬引き上げや都の支援についてお答えいただきましたが、報酬の引き上げをはじめ保育現場など福祉施設の処遇改善は待ったなしであり国の責任です。その責任を果たしていないもとで都が支援をしているということは歓迎するものですが、やはり福祉現場の賃金の低さ、職員不足は現場に負担をかけ、スポットワークを夜勤明けにせざるを得ない、休日にも、有休休暇中もバイトをしなければならないような働き方が人間らしいとはとうてい言えません。

事業者も助かる、労働者も空いた時間を活用できるからウインウインだという意見がありますが、それは違うと思います。本来十分な賃金、収入があれば自由な時間は趣味や家族との時間、友人との時間などに使えるはずではないでしょうか。おこずかい稼ぎという人もいますが、十分な賃金があれば稼ぐ必要はないではありませんか。

スポットバイトはあらゆる職種に広がっていますが、特に保育や介護など対面での仕事に持ち込むにはあまりにも安易だと思います。福祉施設は人材が不足し、どこの施設でも苦労をしていると思いますが、こうした中でアプリを利用することで、きてくれれば便利かもしれませんが、介護や保育の質に影響を与えることは明らかです。都としてもぜひスポットワークについては、国の調査を待たず、巡回での調査など機会を設けてやっていただき福祉現場の労働者の処遇改善、介護や保育の質の向上に努めていただくよう求めました。

介護や福祉職場で働く人の賃金を上げ、保育や介護の質の向上のため、もっと東京都が力を入れることを望みます。

関連記事

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

PAGE TOP