駆けある記

善福寺川の水害対策は住民の声を聞いて

こんにちは、日本共産党練馬区選出都議会議員とや英津子です。

善福寺川上流地下調節池工事契約について質問しました。

この議案は、過去の豪雨被害を踏まえ、時間75mに対応するため杉並区内の成田西四丁目地内から西荻四丁目地内の約5,8キロ区間に地下調節池を建設するものです。

善福寺川の調節池については、今から三年前の2023年8月下旬、東京都の説明会が地元で突然開かれ、水害対策のためといって三か所の公園や住宅街に巨大な取水施設や工事ヤードが作られ、住宅街の人々に立ち退きを求める計画住民は驚きました。そしてその発表からたった半年で東京都は都市計画決定をしてしまうというスピード手続きでした。善福寺川や原寺分(はらでらぶ)橋周辺の閑静な住宅街と良好なコミュニティを形成した住民の皆さんが子どもの遊び場を奪われ、立ち退きを迫られ不安や怒りを持つのは当然だと思います。

善福寺川の水害対策は喫緊の課題と考えます。しかし、都の進め方の拙速さ、水害対策への効果、住民への説明責任についてなど問題点が多く、大変危惧しています。

この計画は、今回契約議案として出ている1290億円ですが、調節池事業の総事業費は約1,557億円、内訳は用地費約75億円、工事費約1,464億円、測量試験費約18億円となっています。また、事業施行期間は令和7年1月から令和24年3月、17年と長期にわたります。

この計画で必要になる用地買収面積と工事で使用する面積、立ち退きや区分地上権など影響を受ける住宅などの戸数をそれぞれ、各エリア、取水地点などごとに聞くと…。

A2、○用地取得面積は、原寺分橋付近が約4,400平米、関根文化公園が約1,200平米であり、今後の測量等の実施により確定

○影響を受ける住宅などの戸数についても、今後の測量等の実施により確定

〇工事で使用する面積は工事契約後に確定

原寺分橋付近だけでも4400㎡、関根文化公園で1200㎡の用地取得があるということです。立ち退きや区分地上権設定の対象になる住宅の戸数は今後ということでお答えになりませんでした。杉並区によれば、不確定な数字ということですが、原寺部橋付近で20件程度、区分地上権で25件程度となっています。地下調節池で立ち退きや区分地上権設定が発生するというのは、事業認可機関より長期化する可能性をはらむ工事です。

私も現地に行きましたが、関根文化公園は保育園の子どもたちや親子連れで賑わっていました。この付近は周辺に公園がなく、多くの保育園や子育て世帯のかけがえのない公園と聞いています。その公園の樹木が茂るエリアを踏みつぶすように取水施設が立ちはだかります。原寺部橋付近も歩いてみましたが、住み慣れた静かな住宅街でした。こんな所に立坑をつくるのかと驚きました。成田西のロケット公園も行きました。夏になれば、遊具で遊ぶ子どもたちを暑さから守るように、巨木がりんと立っていました。都立善福寺川公園は、中心的な緑地帯となっている、プラタナスの巨木が生い茂ります。東京都と住民が長い歳月をかけて作り出した環境です。古くから住んでいた方もいますが、この地を選んで引っ越してきた人たちもたくさんいる地域だとお聞きしました。

この計画は、都市計画道路や都市計画公園のように以前から計画があったわけではありません。都と区が住民に何の相談もなく、水面下で話を進め、突然発表したのです。

公園の代替地は区と協議としているようですが、どうなっているのか。また、今回の事業で伐採や移植する樹木は何本かききました。

A、○区立公園の代替地確保に向けて現在杉並区と調整。工事に支障となる樹木は、樹木診断結果を基に可能な限り移植または剪定

○移植に耐えられないと診断された樹木などは伐採を予定。○本事業で移植する樹木の本数は128本、伐採する樹木の本数は52本を予定

過去の記録を見ますと、杉並区の前区長の時代からこの調節池については協議されてきたようですが、河川施設整備に伴う区有地、区立公園の活用について、その代替地はいまだ決まっていないと。さらに、樹木については私も見てきましたが、たとえばロケット公園のポプラは樹齢は分かりませんが、かなりの大木です。都の説明資料によれば伐採本数は約100本減らせる、移植工法TPM工法の検討とありますが、あくまで検討であり本当にあの大木を移植できるのかと疑問を感じます。また、この工事がなければその場所で生きていくはずの木々が、樹木診断によって伐採と判断されることもあるわけです。つまり不確定な情報です。

さらに住民が影響を受ける、圧迫感を感じる施設も作られます。

発信立坑と到達立坑に整備する建物面積や防音壁の高さをききました。

A○本工事で設置する防音壁の高さについては、発進立坑では11m、到達立坑では10mを予定

11mとは、3〜4階建ての建物に相当する高さです。立坑を設置する区域は第一種低層住居専用地域であり、10m~12mの高度地区制限が適用されています。制限高さぎりぎりまで立てるということです。公園の樹木や景観を破壊して、巨大な工事ヤードが作られ、工事終了後も大規模な取水施設がそびえることとなります。

アセスの対象とすべきではないか、と求めましたが、「対象になっていない」と答えるのみ。

条例改正すればできるのです。実際、都の環境影響評価制度のパンフレットにはなんと書いてあるか。「環境影響評価制度(環境アセスメント制度)とは、事業者が、大規 模な開発事業などを実施する際に、あらかじめ、その事業が環境に 与える影響を予測・評価し、その内容について、住民や関係自治体 などの意見を聴くとともに専門的立場からその内容を審査する」「公害の発生や自然環境の喪失が起こると、健康で快適な生活を損なうばかりでなく、回復が困難な場合もあります。良好な環境を保全していくためには、環境影響評価制度などの未然防止対策が重要です。」と書いてあります。住民の意見陳述も聞く機会を設けるべきと求めました。

🌷契約について

契約方法についても疑問があります。

今回の契約をECI方式とした理由をうかがう。また優先交渉権者選定にあたり、どこのJVが応募したのか。設計者はどこで、入札方法と契約金額をうかがう。

A、○本工事は、大断面の親子シールド工法で長距離掘進かつ急曲線施工などであることからECI方式を採用。優先交渉権者以外は未公表

○詳細設計の受託者はパシフィックコンサルタンツ株式会社、契約方法は特命随意契約、契約金額は5億5,554万700円

まず指摘したいのが、パシフィックコンサルタンツも大成・鹿島も何度も指名停止になっている企業です。

パシフィックコンサルタンツは、外環大泉JCT地区の構造物設計業務」において、仮設構造物の詳細設計を実施しましたが、シールドマシン前面のカッターが鋼材に接触しました。間違った設計をしていた会社です。今回もシールドで掘削しますよね。村上市では談合で指名停止になっていました。栃木県の野木町でも談合で逮捕され、指名停止になっています。

大成建設、鹿島建設も談合で外環やリニアと何度も疑惑が浮上し、過去には新潟で独禁法違反で排除勧告を受けています。

外環工事では先日、田中都議が一般質問をしましたが、調布陥没事故で重大な事故を起こしています。

それなのに透明性の確保はできているのか…。

パシフィックコンサルタンツは基本設計段階で競争入札し落札したため、今回特命随契で大成・鹿島JVとECI方式で詳細設計をしています。

このECI方式は、大断面の親子シールド工法で長距離掘進かつ急曲線施工が理由になっていますが、ご答弁では優先交渉権者の選定にあたっては、選定者以外は非公表です。お聞きしたところ、5者応募で一社辞退、結果的に4者でプロポーザルが行われたということです。分かっているのはここまで、詳細は闇の中です。

本体工事について、募集では工事費用は1000億円だったものが、1300億円になっています。なぜ300億円引き上がったのか、あらかじめお聞きしましたが、詳細設計の段階で細かく積み上げた結果ということで、それ以上のことは分かりません。競争入札ではないので、相手がこのくらいかかるといえばある程度飲まなければならないのではないかと思います。

透明性の確保は絶対条件です。詳細を明らかにすることを求めました。

🌷計画策定の経緯について

都と区はいったいいつからシールドマシン工法による地下調節池建設を話し合っていたのか、うかがう。

A、○令和3年度から実施した基本設計において、シールド工法による施工方法の検討を踏まえ、関係機関との協議を実施

基本設計はR3年度からということです。日本共産党杉並区議団の開示請求資料では、それよりもっと前、2020年、R2年にはすでに都が調節池整備の適地として善福寺川に接している「関根文化公園」を候補地としてあげ、整備を前提として設計を進めたいとしており、区も了承しています。

善福寺川地下調節池として、いまの計画につながる検討はすでにしていたのではありませんか。

まちづくりは住民とともに作らねばなりません。水面下で進めてきて、公表されたときにはもう遅く、有無を言わせず進める。水害対策だからと言って、強引に一部の住民を追い出したり、長年かけて作り上げた都立公園を都自ら破壊するなどもってのほかです。

Q、善福寺川上流域の水害対策を進めるにあたり、巨大な貯水池を建設するというのはあまりにも環境負荷が大きく、わが党都議団はかねてより、水害が発生しやすい区域ごとに細やかな対策を施すことが必要と訴えてきました。このようにまちや公園を破壊する計画を作る過程で、他の代替策を検討したことはありますか。

A、○善福寺川では、神田川流域河川整備計画に基づき年超過確率20分の1規模、時間75ミリの降雨に対応するため、時間50ミリまでの降雨は護岸整備を基本に、それを超える降雨には調節池等や流域対策で対応。○調節池の検討にあたっては、掘込式や地下箱式など別の形式との比較検討を実施

住民の皆さんは、今回の水害対策が本当に必要なのか、問い続けてきたそうです。小規模な貯留施設のこまめな配置、上流部の大規模な透水性舗装、水害地域ごとの下水管対策、そしてグリーンインフラなどです。

これまでも掘込式や地下箱式を検討ということですが、開示資料では、東京都が2016年(平成28年)に神田川流域河川整備計画を改定したあと、善福寺川上流調節池の用地として荻窪中学校敷地を使用することが示されており、荻窪中の改築、井荻小特別教室棟の減築、プール解体、井荻小敷地での荻窪中共用の校庭整備などなど進めることが検討されていたという資料がありました。

こうした検討は、住民の知らないところで行われているのです。ますます不信感がわいてきます。

住民の納得を得ていないために、工事もそう簡単に進むものではありません。用地買収や、区分地上権設定が必要になるわけで、なかでもシールドマシンの計画線直上の地権者に区分地上権設定をうたなければシールドマシンを動かすことができません。そこで、

Q、シールドマシンが掘進を始めるには、各地の区分地上権設定がそれぞれ終わっていなければならないのではありませんか。

A○用地交渉を進めながら、治水効果の早期発現のため事業を着実に推進

はっきり答ませんでしたが、区分地上権設定が整わなければシールドマシンは動きません。

今回の契約でいえば、工期は10年ほどですが、全体の工事は17年間続くわけです。そこに加えて用地買収の時間が加われば数十年と工事は続くことになります。

Q、立坑工事を始めたとしても区分地上権設定や用地買収が終わらず、シールドマシンが発進できない場合、巨大な工事ヤードはずっとそのまま立ち続けることになるのではありませんか。

A○用地交渉を進めながら、治水効果の早期発現のため事業を着実に推進

最悪、残り続けるのです。

水害地域の人たちのなかには、この地下調節地ができたらたとえ公園が台無しになったとしてもあの時の豪雨にも耐えられる街になると思っている人がいます。これだけの環境負荷を与えながら、水害対策としては数十年、その効果が発揮されず、100㎜級には耐えられないのです。上流施設では50㎜級の雨で水害を引き起こす地域を中心に細やかに地下貯水槽を作ったり、下水管から湧き上がってくる水を川に流すバイパス工事、貯留量はそれほどないものの、急な豪雨を一気に川に流させない大規模な透水性舗装などの施策で水害はだいぶ減らすことができるのです。そっちの方がよほど早く安く対応できるのです。

さらにB/Cについて、

Q、この間で最大の被害を出した2005(平成17年)年9月の大水害は、時間最大112㎜、平均で92mmの豪雨で浸水面積が125.86ヘクタールでしたが、都が示している本議案に係る神田川流域河川整備計画のB/Cによると、被害想定は、時間雨量が何ミリで何ヘクタールの浸水面積と試算しているか。

A、○神田川流域の費用便益比の算出に用いた氾濫解析では、目標整備水準である年超過確率20分の1に相当する時間75ミリから、流域対策分である10ミリを差し引いた時間65ミリの降雨を想定

○この降雨による氾濫面積は226ヘクタール

時間112ミリの2005年大水害でも浸水面積が125ヘクタールだったのに、都の被害想定は時間75ミリの雨量で226ヘクタールの浸水面積となっています。その結果、都の想定被害額は2005年の二倍以上になる905億円となってしまっています。あまりにも不合理な被害想定ではないでしょうか。

そこでより詳しく今回の議案の元となる資料を調査しようと、便益算定の基礎資料となる資産データの一般資産等基礎数量における浸水面積、人口、世帯数、従業員数、などのメッシュ・データおよび一般資産額における家屋、家庭用品、事業償却資産などのメッシュ別数値を住民の方が開示請求しましたが、建設局は不開示としました。その理由は「実施機関では作成及び取得しておらず、存在しない」とのことですが、都のどの局がその資料を持っているのですか。それとも持っていないのか聞きました。

便益算定に用いたメッシュ別データ及び数値については、都は保有していない。

そもそも手続きの強引さと住民との合意をまったく取ろうとしていないこと、莫大な費用と環境破壊にもかかわらず上流部の水害対策として効果の発揮があまりにも遅いこと、契約議案にもかかわらず費用便益調査において疑義が生じているにもかかわらず、疑義を晴らす資料が開示されていないことなど問題が多すぎます。本議案はこの地域の住環境や自然を壊すだけでなく、東京のまちづくりの民主主義を破壊するものとして反対しました。

計画については➡https://www.kensetsu.metro.tokyo.lg.jp/river/chusho_seibi/zenpukuji

論戦ユーチューブは(防災船の質疑の後)➡https://www.youtube.com/watch?v=qsBrC0p6KrE&t=410s

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