昨年の通常国会で成立した「医療介護総合確保推進法」により、都道府県は「地域医療構想」を策定することになりました。構想は、2025年に向け、病床の機能分化・連携を進めるために医療機能ごとに2025年の医療需要と病床の必要量を推計し定めていきます。
現在東京都では、この検討に入っているところです。10月27日、日本共産党練馬地区委員会、松村都議事務所、区議団で東京都に申し入れを行いました。地域医療構想自体は、医療費削減を狙ったもので、全国的には病床も削減の方向ですが、具体化するにあたってはできる限り、都民の要望に応えたものにするべきです。なかでも練馬区は人口が増えているのに、病床が23区平均の3分の2に満たず、1800床も不足しています。医療に関する区民要望も強く、切実な問題を抱えています。
国の推計では、東京は人口増が進んでいるため、練馬区を含む区西北部医療圏は病床を増やせる可能性がありますが、着実に必要な病床を確保できるよう、練馬を独立した医療圏とすることを求めました。合わせて、既存病院の練馬区への移転や医療を支える人材の確保など、医療過疎解消のための施策を要望しました。東京都の担当者からは「医療構想策定のため地域調整会議をもっている」として、「そこで自治体や医療関係者から意見を出して欲しい。」との答えがありました。
練馬区は、今後大泉学園に約100床程度の新病院建設を予定しています。さらに、順天堂練馬病院の90床増床、光が丘病院の建て替えなどを控えています。これらが全て完了してもまだ病床は不足状態です。
区民の命と健康を守るため、引き続きみなさんと情報を共有しながら、力を合わせたいと思います。
地域医療構想策定に際しての要望書
2015年10月27日
舛添要一 東京都知事殿
日本共産党練馬地区委員会
同 松村友昭都議事務所
同 練馬区議会議員団
練馬の実情と痛感していること
練馬区は人口71万で23区2番目、面積は5番目と大都市並です。一方で人口10万人当たり病床数は、23区平均の1/3で最低。区民が区外の病院に入院する率は7割に及び、救急搬送でも54%が区外、災害時の施設整備も進んでいないという病床過疎の街です。問題は、人口急増で、たとえば1991年~2012年の約20年間に約10万人(19%)も増えたが、病院は一つ減り、人口10万人当たりの病床数の増は16%と格差が広がるなど、病床増の決定的な遅れです。
痛感される問題は、第一に、病床数は二次医療圏単位で東京都が決めますが、同じ自治体として区民に責任を負う区が、その仕組みから隔離されていることです。運営も医療圏だけを見て、圏内区の状況は全く見ないで、病床数増加の場合も希望する病院に平均的に分ける。これでは病床過疎でもどうにもなりません。とくに区西北部医療圏は地理的にも有り様が悪く、練馬区民で同一医療圏の病院に入院するものは半分にすぎません。
第二は、法律で「すべての国民が平等に医療を受ける権利」が明記されているのに、残念なことに、病床数の地域的偏在があまりにも軽視されていることです。
だれもが安心して暮らせる東京、練馬へ
今、都では「誰もが質の高い医療を受けられ安心して暮らせる東京」をと、地域医療構想が検討されています。地域医療構想は医療費削減のために病床数を抑制する問題のあるものですが、都として具体化するに当たっては、できる限り都民の要望にこたえるものにするべきです。練馬区でこの目標を期日の2025年までに仕上げるためには、練馬区で上記の医療過疎の問題点を抜本的に解決し23区平均レベルに追いつき追い越す、また、新しい地域医療構想で25年までのあるべき医療提供体制を作り上げることを同時に進めることが必要です。そのため特に必要な問題にしぼり、以下2項目を要望します。
とくに不可欠な2つの要望
1、練馬区を独立した構想区域に
★いま重要課題の地域包括ケアシステム構築を区で行うには、日常生活圏域で医療と介護の提供者が連携する在宅療養ネットワーク構築と在宅療養の病床が必須です。それには、自治体が必要な病床数を確保し、区民医療に責任を果たせるよう、練馬区を単位とした構想区域の設定が必要です。
練馬区は構想区域設定にあたって求められる人口規模、患者の受療動向、基幹病院までの時間など将来の検討要素が現時点では著しく弱体ですが、東京都は2025年にあるべき体制の3つの目標の一つの柱に地域包括ケアシステムを据えています。そして、誰もが住み慣れた地域で生活できるよう地域全体で治し支える「地域完結型」医療を提起し、例として初期治療の医療供給体制や高齢者の在宅療養支援などをあげています。これを練馬で実現しようとすれば必要な病床数を確保し区民医療に責任を果たすため練馬区を単位とした構想区域の設定が必要です。
★災害時は基礎的自治体の区が区民の命・健康を守る責任を負っており、病床を地域的偏在なく適正に配置しなければなりません。練馬区が基礎的自治体の役割を果たすためには、人口、面積など自治体の規模に見合った病床数の整備が必要です。
★とくに自治体の規模が大きいが病床数が少ない練馬では、23区平均病床数とは1800床といわれるほどの格差があり、これを是正することは、これまでの複数自治体の医療圏を踏襲していては、とてもできません。
2、新医療体制と結び練馬の病床偏在をなくす
病床数が23区平均の1/3の練馬。これは東京の恥ずべき大きな病床偏在(23区平均との格差は1800床といわれる)です。自然成長に任せては解消することはできません。偏在解消の面からも取り組みを検討するべきです。
東京都として以下の施策を行うよう要望します。
- 練馬の新構想区域の基準病床数は、通常の基準の数の他に、国に対し人口急増・病床偏在解決の病床増を、偏在規模に相応した規模で求め実現する
- 練馬の医療水準向上も考え、都内の13の大学、15の特定機能病院などから練馬への施設を移動、あるいは分院を新設する
- 公社の豊島病院の分院を練馬につくる。東京の医療資源を全面的に活用する
- 地域医療を支える有床診療所の支援を強め、施設を拡大する
- 上記の大学や病院その他で、地域連携を担う総合診療医や在宅医療を支える人材の確保、育成を行う
以上
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