駆けある記

決算特別委員会報告①ー外かん陥没事故から1年

こんにちは、日本共産党練馬区選出都議会議員とや英津子です。

総選挙は終わりましたが、選挙期間中も11月も都議会は決算特別委員会が開催されています。共産党都議団は一般会計決算で5人のメンバーが特別委員会で質疑し10/29に分科会が終わりました。来週は総括質疑です。

選挙中でもあり、報告ができなかったので、これから順次報告していきます。

決算は一般会計と公営企業会計で別々に質疑が行われます。一般会計は第一~第三分科会に分かれて質疑が行われます。私が所属する分科会は第3分科会で、建設局、労働委員会、市場、環境局、都市整備局、産業労働局、住宅政策本部、港湾局が所管です。局別に質疑が行われます。今回は非常にタイトな日程で苦労しました。

最初は【建設局】からー外環問題の質疑です。

陥没事故から一年

昨年10月に調布の住宅街、外環本線の直上で巨大陥没事故が発生しました。その二週間後には陥没箇所の北側に地表から5mの深さに厚さ3m×長さ30m×幅4mという大規模な空洞が発見されました。

この間、日本共産党は事故が起きる前から地上への地下水の噴出、酸欠空気の発生、振動など外環工事の問題点を指摘してきました。しかし、事業者であるネクスコも国も聞く耳を持たず工事を取りやめようともせず、情報公開にも応じてきませんでした。都もそれを追認してきました。そして起きたのが陥没事故であり、その後の空洞の発見にもつながったのです。

大深度トンネル工事について、事業者も都も「40m以深の大深度だから地上への影響はない」と「安全神話」を繰り返してきましたが、それが文字通り神話であり、住民の不安と恐怖、国や事業者、都への不信感は募るばかりです。

住民からは、家屋と外構部の隙間がどんどん拡大している、家と地盤を破壊する気か、ベランダにも亀裂など220か所以上の家に損傷が起きていると訴えが届いています。怖くて眠れないという人もいて、精神的な負担は計り知れません。

これらの被害や訴えは、事業者が補償と修復の範囲として定めている範囲をはるかに超える東つつじが丘2,3丁目、入間町二丁目、若葉町と広く被害が広がっているのです。

一方、この事故を受けて有識者委員会の出した結論では陥没事故で想定される原因のメカニズムは土砂の取り込みすぎと振動の二つがあげられていましたが、最終的には土砂の取り込みすぎが原因であるとして振動は原因として相当しない、トンネル直上以外は緩みはおきていないとし、地盤補修の対象外という結論を出しました。

稲積教授の調査で重大な事実が判明

しかし多くの人たちの疑問はぬぐえず、芝浦工業大学の稲積教授が調査をしたところ、トンネル直上、地盤補修予定以外の4地点で、地下5メートルまでの表層部分で地盤の強度を示す「N値」が低いことが判明し、地盤の内部撮影では多数の「空隙」すきまが確認されています。

稲積教授の調査もあり、NEXCO東日本の社長らが調布市長を訪問し、謝罪と説明をしています。しかし、都としてNEXCOに対し、調布市長におこなったような説明も求めず、住民に謝罪するよう求めてもいませんでした。

稲積教授の調査は、動的貫入試験ミニラムサウンディングと言われる機械で、ボーリング調査と同じ原理で少し簡易にしたもので、換算でN値がでるそうです。さらにビデオ付きコーンによって内部を見ることができました。

この調査結果と同様の調査を、東京外環トンネル施工等検討委員会では行っておらず、したがって同様の結果も得ることができていません。

NEXCOは、新たな空洞の可能性があることは報道によって知っている。、陥没・空洞箇所周辺で路面空洞調査や微動アレイ調査等の地盤調査をおこなってきたが、さらにどういった調査が必要なのか有識者に相談しながら検討していくと答えています。

つまりこれまでの路面空洞調査や微動アレイでは、稲積教授の行った調査による空隙や地盤の緩みは発見できなかった。だから有識者に相談しながら検討するということです。

これは、有識者委員会の調査報告とが極めて不十分であったと事実上認めざるを得ないということです。

住民はボーリング調査を求めている

稲積先生の調査では、四か所の調査結果のすべて表層部分のN値が低く、0~2、あるいは3にとどまっています。しかも一か所は20年前と5年前のデータがあったため比較可能でした。20年前と5年前のN値は変わらないのに、今回の調査では大きく変化しさらに地盤が弱くなっていることもわかりました。つまり、この間に地盤を著しく弱くする何かが(振動)があった可能性があるということです。

住民は、夜も眠れない日々を送り、地震や大雨で自分の家がどうなるのか、常に張り詰めた状態でいなければならず、苦痛の毎日です。国も事業者も一緒に進めてきた東京都もことの重大性を認識すべきです。

住民の不安に応えボーリング調査を行うことを求めました。

住民の命より工事優先?する驚くべき答弁

都は「事業者からは、今後の掘進区間において、北行きシールドトンネルが通過する入間川東側を含めて、陥没・空洞箇所の掘削断面と類似する箇所について、地盤の再確認のために、ボーリングを実施予定」との答弁が返ってきました。

北行きトンネルの調査とは、今後シールドマシンを掘進させるためにボーリングをやると言っているようなものです。住民は被害状況を正確につかみ、損害賠償の対象にすることを含め、今後このようなことがないようボーリング調査を求めているのです。とんでもない答弁です。

現在、地盤補修が必要と判断している約220m以外でも被害が確認されています。隣接地における地盤の緩みが確認されれば、当然補修と補償の範囲も広がるはずです。事業者にしっかり約束させることを都に求めました。

有識者委員会のメンバー見直せ

今回、住民の生命、健康、財産にかかわる重大な問題を見逃したことで、事業者の責任はもとより、有識者委員会はその存在意義が根本から問われています。

メンバーを全面的に見直し、第三者の検証体制も設けることを求めました。

しかし都は、トンネル工学、地質、水文学、地盤工学、施工法を専門とする各分野で第一線で研究や実務にあたってきた人たちであり、公正かつ中立に各々の専門的見地から検討されてきたと一蹴。

私からは、どんなに専門的な知識を持っていても、住民の生命や生活再建より工事優先の考えが前提にあれば意味が無いと反論しました。

都の責任が厳しく問われる

これまで、都議団は外環問題を何度も取り上げ、あまりにも問題が多く事業者等に責任ある対応を求めてきました。しかしNEXCOは責任ある対応どころか大泉JCT付近のシールドマシンを保全措置といいながら掘進を再開しています。大深度シールド工法は住民の命と暮らしを守る上であまりにも未熟であり、工法自体破綻していると言わざるをえず、これまで事業推進の立場をとり続け、事業認可した東京都に責任を厳しく指摘し、認可取り消し、計画の中止を求めて質問を終えました。

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