駆けある記

神宮外苑イチョウ並木の名勝指定を

こんにちは、日本共産党練馬区選出都議会議員とや英津子です。

文教委員会には2年連続で明治神宮銀杏並木の名勝指定を求める陳情が提出されています。先週も定例会前の審査をおこないました。

教育分野を議論する委員会なので、まずは子どもたちの学習教材としても重要な価値を持つ銀杏並木であることを確認しました。

100年以上の歴史をもつ外苑銀杏並木は、東京のみならず、世界各国の人々が訪れる「美しい並木」です。同時に、子どもたちの遊び場でもあり、学習の場としても活用されています。

幼稚園の年中組の園外勉強ででは、事前にバスの中で銀杏の木にはオスとメスがあること、オスとメスの葉っぱの形が違うこと、メスにギンナンがなることを話し、実際に葉っぱを見せて話すことで、子どもたちは興味津々の様子で、期待を持たせてから現地に到着し観察するなどの取り組みも行われているそうです。

また、子どもたちが自主的に企画した観察会も行われています。四列のイチョウ並木と絵画館が織りなす風景。100年前の人々が100年後の未来に美しくなるように、それからの100年もずっと美しくなるように考えて設計した遠近法に感動する子どもたち。また、30度を超える夏日なのに、銀杏並木の下に来ると「木の下にいたら涼しい」。「風が気持ちいい」「さわやか」などの声があり、環境も歴史も学べて感性も養える場所です。学習教材として100年以上も生き続けているイチョウ並木が都内にあることは子どもにとっても宝です。

文化財として名勝指定すべきもの以前に、東京にこのような価値あるイチョウ並木は今後も児童・生徒の学習材料として重要な場所であり、教材としてもふさわしいと考えますがいかがですか。

この質問について都は、「教材の選定にあたっては、児童・生徒の発達の段階や特性、地域の実情等を考慮し、多様な教材の活用に努めることとされており、こうした趣旨の下、各学校では、自然や文化等に親しむ機会として郊外学習を設定している。」と答弁。

イチョウ並木を後世に引き継ぐために、有効な手段として都の名勝指定があります。前回の質疑でも確認しましたが、名勝指定されると、その管理、または修理に多額の経費を要し、所有者がその負担に耐えない場合などは、所有者に対し、予算の範囲内で補助金を交付することができるとのことです。イチョウ並木の四列のうち道路側の二列は東京都の都道沿いなので、都の管理になりますが、外側の二列などは明治神宮に管理責任があります。負担の重さもあり管理が行き届かなければ、都民の財産ともいえるイチョウ並木を枯らすことになりかねず、貴重な文化財が東京から消えてしまう可能性もあります。

文化財指定は東京都教育委員会

そこで、都の文化財保護条例にもとづき、諮問するのは誰なのか、決定は誰なのかと聞きました。

どちらも東京都です。

都内の文化財を有形文化財や無形文化財、あるいは重要文化財に指定する部署は教育委員会です。文化財保護審議会に諮問をするか否か、審議会の答申を受けて決定するかどうか、判断は都教育委員会に委ねられています。

つまり、東京都教育委員会の役割は非常に重要なのです。

もちろん、所有者や地元自治体(ここでは新宿区と港区)との事前の協議は必要ですが、より主体的・積極的に動いて欲しいものです。

一部が枯損の恐れ

100年の歴史がある148本のイチョウ並木。その一部が再開発によって枯損の恐れがあります。

イチョウ並木を良好な状態で保つには、良好な環境と徹底した管理が必要と聞いています。

この間、環境影響評価審議会も行われ審議され、私もその記録を読ませていただきました。事業者が環境影響評価審議会に提出した資料では、銀杏並木は健全との報告でしたが、実は2021年頃より一部衰退、枯損が急速に進んでいることが専門家による昨年の調査で判明し、今年一月記者会見が行われています。記者会見資料は日本イコモスのHP公表されており、それも読ませていただきました。

危険な兆候を示すイチョウについて、一本一本丁寧に観察経過が述べられており、生きている樹木を守るためには時間との勝負であるとも感じました。

日本イコモスが警鐘を鳴らしヘリテイジアラートを発出しイチョウ並木を守れとメッセージを発信した意味がここにあります。だからこそ都民からは都の「名勝(指定有形文化財)」指定を求める声が上がっているのです。

東京都と地元自治体が協議

神宮外苑は港区と新宿区にまたがって位置していますが、地域住民の関心も高く、区議会でも議論が行われています。

港区議会22年11月、区議会議員質問への答弁で、「銀杏並木について、区の区域内だけでなく、その一部が新宿区にまたがり、また、絵画館は新宿区にあることから、広域的な名勝視点の観点を含め、新宿区や東京都と意見交換を続けて参ります。」と港区教育長が答弁しています。

そのことを質問すると、

都は「港区および新宿区とは、R5年3月、所有者の意向の重要性や区域の確認などについて、意見交換を行った。」

と答えました。これは初めて明らかになったことで、三者が協議したことはとても重要です。

また、港区は独自に明治神宮と話をしています。

報道によれば港区は、イチョウ並木を公的に保全するための「名勝」指定を検討しているとのことです。昨年10月に「国際記念物遺跡会議」(イコモス)の国内委員会が国の名勝として指定するよう提言したことを受け、2月には名勝指定を検討する陳情書が区民から出され、議会でも議論されるようになったこと。名勝指定には所有者の同意が必要なため、港区が明治神宮に意向確認を行ったところ、「名勝指定は否定しないが、再開発が控えている。イチョウ並木は万全を期して保全するので、今後も協議を重ねたい」という趣旨の回答があったといいます。区の図書文化財課は「4列のイチョウ並木を保全すると回答を得ることができたのは収穫」と話す、とのことです。

銀杏並木を守るため、一刻も早く関係自治体と検討し、名勝指定すべきでです。民間の個人や法人が所有する東京都の指定文化財について、保存活用計画を立てる際、東京都は、文化財の所有者等からの依頼に基づき、指定された文化財が適切に保存、活用されるよう指導、助言を行うため、都職員が計画策定のための委員会に参加しています。都が積極的にかかわることで、都民の重要な財産を守ることができます。

国の「近代の庭園・公園等に関する調査研究報告書」では、名称の指定の可能性がある事例のうち、重要なものとして位置づけられています。気候危機が叫ばれる中、再開発で歴史と文化的価値もあるイチョウ並木を枯らさないよう都が特段の努力をする必要があります。

都教委には一刻も早く指定しイチョウの保全に努めることを求めました。外苑問題の請願は環境・建設委員会でも審査され否決されましたが、私が所属する文教委員会では継続とすることができました!力を合わせて美しい銀杏並木を守りましょう。

街路樹を考える

昨年12月に街路樹調査に出かけた記録を、以前ブログにアップしていました。

街路樹調査ツアー | とや英津子 東京都議会議員(練馬区選出)Official Site (toya-jcp.info)

地球温暖化、気候危機と環境問題を考えされられる日々。樹木の果たす役割をより多くの人たちに知ってもらい、行政にも真剣に取り組むことを求めたいです。

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