駆けある記

東京芸術座「父を騙す」

練馬区選出都議会議員 とや英津子です。
久々のお芝居、東京芸術座「父を騙す」を新宿紀伊国屋ホールで観ました。

認知症のお祖父さんと介護に疲れた祖母、そして同居の息子家族が抱える今日の介護問題。お祖父さんを騙してグループホームに入所させる判断を巡り、家族の葛藤が見えてきました。

同時に、描き出されたのがお祖父さんの過去です。
自分の過去を語りたがらないお祖父さんは、全ての記憶を失う前に日記を孫に渡します。そこから辛い過去にも遡ります。

1944年秋から日本は戦局挽回のため、無謀な特攻「回天」作戦を決行。人間魚雷として敵の艦隊に体当たりするのです。

勝てるはずのない戦争に天皇陛下のためと尊い命を落とした多くの若者がいました。出撃搭乗員は延べ148名にものぼります。
お祖父さんはその特攻隊員で当時の年齢は孫と同じ19歳です。「回天」の故障で出撃を免れる一方、仲間は死んでいきました。軍国青年にとって死ねなかったこと、仲間を失ったことの悲しみや苦しさは計り知れないものがあったことでしょう。
観ていて、怒りと涙が込み上げてきました。

当時の軍国主義教育が国民を騙して戦争へと駆り立て、命を羽のように扱った時代があったことを忘れてはならないと思います。

芝居に出てくる「騙す」というキーワード。家族が介護で疲れ切ったお祖母さんをいたわり、お祖父さんを愛するがゆえに施設へ入れることを躊躇いながらも騙さざるを得ない。

天皇制のもと、国民を戦争に動員した時の政府。国家をあげて国民を騙したのです。

若い人たちにも観てもらいたいお芝居でしたが、残念ながら15日から20日まででした。

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