こんにちは、日本共産党都議会議員(練馬区選出)とや英津子です。
決算質疑報告の二回目は西武新宿線連続立体化問題です。このテーマは何度も質問をしてきましたが、今年は地権者の移転問題に焦点をあてました。
中井駅~野方駅の工事進捗について
西武新宿線は、現在中井~野方が地下方式で工事が進んでいます。しかし、立ち退きがうまくゆかず、工期は6年間延長されています。この問題は昨年も取り上げましたが、進捗はどうなっているでしょうか。
用地は令和2年度に約330㎡を取得し、取得率は9割を超えている。工事は、新井薬師前駅及び沼袋駅部が中心、令和2年度は、地下構造物の構築に向けた仮設土留工や掘削、パイプルーフ工法による鉄道分岐器の仮受け工事を実施
という答弁ですが、昨年も9割を超えているとのことでしたが、まだ100%とはいかず、工期が6年延長されています。
工期が延長されたことによる費用の変更はどうか。当初事業費は約726億だが、昨年4月の事業認可変更時に増額し現事業費は約737億、約11億の差額は、事業期間延伸によるものではなく地価上昇による用地費増になりました。
地価の上昇により、約11億円増額しているということです。工期が長くなればそれだけ経費が膨らむリスクもあるということです。
いま、気になるのは移転を余儀なくされている人たちの生活再建です。公共事業を理由に、合意無くして移転を強要することは許されません。
立ち退き対象で、まだ残っている人たちから話をききましたが、移転・補償について折り合いがついていない状況です。特に残地が狭小であることで扱いに困り、買い取って欲しいと希望しても一定の条件をクリアしないと事業者は買い取りません。東京都は、これらの交渉をすべて西武に任せています。連続立体交差事業は、道路事業であり東京都の責任は大きいのですが、この区間の用地買収費用は全て西武鉄道の負担です。
買収棟数は60棟ですが、あと5年半の工期で完成する見通しがあるのか。疑問はつきません。
井荻駅~柳沢駅はいま
この区間は、10月26日都市計画審議会で都市計画決定が強行されました。都議会には新たに陳情も出され、住民の意向を丁寧に聞き、工法の再検討が求められているにもかかわらず、都は無視して審議会に付議しました。
なぜ、高架なのか。その検討過程も地下化の十分な検討もされないまま事業を進めることは許されません。
しかも、影響を受ける地権者は230棟。中井~野方とは桁がちがいます。この棟数をたった5年間で買収しようというのが、東京都の計画です。無謀としかいいようがありません。
また、上石神井車庫の形状を変えるため、本来立ち退く必要のない住民までまきこんでの事業です。うまくいくとは到底思えません。
京王線、相模原線では…
一方、地下化を進め二年の工期延長で完成した京王線、相模原線の調布付近計画はどうか。
平成14年度に着手し、事業中に事業期間を2年間延伸し、平成26年度に完了
したと報告。
工期延伸の理由は、シールドマシンの発進立坑の設置に必要な借地にあたり、地権者との協議が難航し、シールド工事の着手が遅れたことによるもの。鉄道の地下化に伴い移転が必要になった建物の棟数は、約40棟
やはり工期が延伸するのは、移転をともなう工事だからです。しかし、対象は40棟ですから影響をうける地権者の数が少なければ工期の延長も短く済むことが傾向としてある。立ち退きを伴わない工事ならば、もっと早くできることは確実といっても過言ではありません。
先日私は、調布駅付近と相模原線の上部利用エリアを歩いてきました。その後、調布市の担当課にも話を聞きました。
上部利用しているエリアはご存じの方もいると思いますが、高架化された地域とは比較にならないほど明るく、若い家族が住民参加で整備された公園である、「鬼太郎広場」やタコのある公園で遊び、活気がありました。自転車置き場としても有効に活用され、なによりも空が広く北側の生産緑地も影にならずに済んでいました。住民とともにまちづくりをしてきた話も伺いました。地下化することで高架化では得られない選択肢が広がっています。
この土地は地上権設定で市が買い取りまして、京王電鉄の利用は24、5%でした。あとは住民のための公共利用なのです。いまの線路幅でできる複線シールドでの地下化を進めることを重ねて求めて質問を終わりました。
【雑感】
昨日は選挙が終わってはじめて都議団ほぼ勢揃いで団会議。選挙の感想と都議会第四回定例会準備の検討会を一日中やっていました。
様々な選挙区の経験を聞きましたが、9区はやはりいい選挙ができたと思います。それは、市民の動きが半端ではなかったからです。政党間の立場やスタンスの違いを乗り越えられたのは、市民が一緒にいたからです。そして私たちのような現職、前職、元職含めて政治家と言われる者たちは、市民の中に入り、同じ目線で選挙でも運動でもやればいい。議員でなくても村社会のようなところにいると外が見えなくなる。共産党はその殻を破る機会を得たのだと思いました。振り返れば2015年の安保法制・戦争法の強行の時から舵は切られていたのです。本気の共闘は始まったばかりです。また頑張ります。
西武新宿線花小金井住民です。記事を読み、事業の難しさ、なぜ遅ればかりの疑問を少し理解しました。感謝です。また、今後の状況、買収される側の声も聞けたら有り難いです、宜しくお願いします
コメントありがとうございます。
田無駅〜花小金井駅も連続立体化計画対象区間でしたね。
いま、西武新宿線中井〜野方の地権者から相談を受けています。
住んでいる方の事情は様々で、金銭解決で済む問題でもなく、周りの環境や人間関係、高齢者がいると環境が少し変わると認知が出てしまう人もいます。
わたしが相談に乗っている方は、ご家族それぞれが事情を抱えていて、新しい場所に移るにはいくつものハードルがあります。
住まいは権利ですから強制的に退去はさせられません。
より良い条件が提示されるまで交渉が続きます。
都も西武も地権者の暮らしを甘く見ていると思います。