駆けある記

決算特別委員会報告⑦ーキャップ&トレード②

こんにちは、日本共産党練馬区選出都議会議員とや英津子です。

キャップ&トレード制度の質疑の二回目(最終)です。

一回目は、都内大規模事業所は全事業所の0.2%ですが、これらがCO2排出全体の4割を排出していることが明らかになり、大規模事業所の排出削減の重要性と実際の削減方法について述べました。その中で都内二か所の火力発電所が例外扱いされていることも指摘しました。

今回は、今後の排出削減に向けたキャップ&トレード制度のありかたについてです。

再生可能エネルギー普及に後押しを

東京都は2019年度と2020年度に、対象事業所における再エネ等の低炭素電力の利用方針や利用状況等を把握し、制度運営に活用するために対象事業所にアンケートを実施しています。どのようにみているのか聞くと…。

答弁は「2020年度の調査時点では、使用電力に占める再エネ率が20%未満の事業所が大半を占めるなど利用率は高くないが、約4割の事業所が再エネ率に関する目標・方針を設定済または検討中としており、そのうちの約3割が再エネ率50%から100%の目標を設定するなど、再エネを志向する動きが見て取れる」というものです。

事業所としては、非化石証書の購入よりも再エネ電力そのものの導入を考えているということですから、十分な都の後押しがあれば排出削減は進むと考えられます。

一方、再エネの導入がまだ極めて少ない状況というのは、化石火力や原発にしがみつく日本政府のエネルギー政策のゆがみ、遅れが反映しているという面もあります。これを切り替える流れを東京からつくり出すつもりでやっていくことが必要です。

クレジットについ

キャップ&トレード制度は、総量削減義務履行の手段として自ら削減する手段と排出量取引があります。排出量取引の一つであるクレジットについても聞きました。

都内対象事業所でクレジットを使用している事業所は第1計画期間においては、約9割の事業所が自らの削減対策により義務を達成し、クレジットを利用して義務を達成したのは約1割。

第2計画期間においては、約8割の事業所が自らの削減対策により義務を達成する見込みです。

バンキング利用は?

バンキングの仕組みは、早期に省エネ投資等の成果を繰り越し、翌計画期間に自らの削減義務の達成や、排出量取引に活用できることとしているもの。

第二計画期間に第一期のバンキング分を利用している事業所はどのくらいあったのか?

第2計画期間の義務履行期限は令和4年1月末としているため、現時点ではバンキングを利用した事業者の状況は不明でした。

しかし、自らの削減対策等で義務達成が困難である見込みの事業所が、第一期に実際に達成できなかった事業所よりも増えています。

都はこの要因を、第一計画期間より第二計画期間の義務付けが厳しくなったためと認識しています。実際、第一計画期間は、義務率を6%または7%としていたものを、定着、展開する期間と位置づけています。

千葉大の研究者のアンケートでは、排出削減義務を超過達成した事業所は、バンキングする傾向があることがわかっています。安易に金銭的な価値を追求するより、早期削減のためのインセンティブとして、うまく機能している結果ととらえたい。他方、クレジットの使用は、やはりペナルティとして削減義務達成を促す役割という側面が重要です。クレジットを使用することで、実際にCO2が削減させるわけではないので、やむをえず使用することはあっても、安易に広がることは好ましくありません。

国連気候変動枠組み条約の事務局は、各国が排出した温室効果ガスの排出削減目標を集計した報告書を公表しています。現段階の目標を達成したとしても、2030年の世界の温室効果ガスの排出量は、2010年比で16%増加すると指摘しています。各国や地域がより強力な目標を設定しない限り、今世紀末までに世界の気温が2,7%上昇すると警告しています。エスピノサ事務局長は、パリ協定の目標を気温を上回れば、温室効果ガスの排出量が最も少なかった人々が、際限なく苦しむことになるとも警鐘を鳴らしています。

日本は世界第五位の大規模排出国にもかかわらず、その責任に向き合っていません。実際、COP26では、恥をさらしました。東京都が世界から恥ずかしくない取り組みで気候危機打開に貢献することを求めて質問を終えました。

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