駆けある記

「韓国の性売買禁止法とその周辺」を学んで①

こんにちは、日本共産党練馬区選出都議会議員とや英津子です。

8/4の新規感染者は4,166人で過去最多です。医療逼迫がすでに始まっているのか、練馬区でも自宅療養の方が1810人になっています。重症者以外は自宅療養という国の方針はすでに現実になっているのではないか。先日は身近な人がコロナで亡くなり、病院に入れない人の相談もありました。人の命が軽んじられているのではないか、こんな時に病床削減はないだろと、症状が出ている人の苦しみに寄り添えない政治にイライラが募ります。

さて、韓国の「性売買」について学ぶ機会がありました。

予備知識がほとんどない中での講演を聴き、分からないことだらけ。関連する資料を読み、改めて日韓の性売買とジェンダー平等について考えるきっかけになりました。また韓国の性売買を知ろうとすれば、その歴史から日本の植民地主義抜きには考えられません。学んだ内容はさらに深め、これからのジェンダー平等を進める糧としたい。今後少しずつ紹介していきます。

韓国の性売買の歴史

朝鮮社会では朝鮮王朝が性売買禁止政策をとってきたため、吉原遊郭のような公娼制はありませんでした。朝鮮侵略で、明治政府による日本式制売買と制管理制度が持ち込まれ、日清・日露戦争と日本軍常駐化をきっかけに「占領地遊郭」に発展してきた歴史をもっています。

さらに大戦中は日本軍の慰安所に多くの韓国人女性が連れて行かれ、性暴力をうけました。この事実は長い間隠されてきました。

戦後は公娼制廃止令が発令されましたが、「キーセン観光」といって日本人観光客むけの性的サービス事業もありました。また朝鮮戦争で米軍基地周辺の性売買が盛んになりました。80年代に入ると韓国男性を対象にした性売買が行われるようになり、経済規模は24兆ウォンに達し、成人男性の二人に一人は性購買経験があったといわれています。

長い間、韓国では「淪落行為等防止法」(1961年)がありましたが、性売買を全面的に禁止しながらも、その責任は男性ではなく、女性にのみ問うものでした。

韓国社会に根強くある家父長制が大きく影響しており、女性運動が始まっていましたが、性売買が中心課題にはならなかったようです。

新法制定へ

2004年、「性売買禁止法」ができる。

 ・性売買女性、購買者、斡旋者が処罰される

 ・ただし「性売買被害者」であると認定された場合処罰は猶予され支援をうけられる。

性売買禁止法制定のきっかけは

2000年、2001年、2002年の性売買施設での火災によって20人以上の女性が監禁状態で死亡。これらの事件で、韓国社会の性売買の搾取的構造と奴隷のような女性の生が明るみになり、全国に広がり女性運動が進んだ。命が犠牲になってようやく社会が動き始めるのです。

女性団体は性売買を女性に対する性的搾取と抑圧という観点から性売買女性を処罰しない、購買者と斡旋者に対する処罰を強化する内容を求め、運動を展開する。そしてようやく2004年に「性売買防止法」が制定される。これは、女性たちが経験する人権侵害に注目することで、国が性売買を予防・防止し性産業に対応し被害者を支援する責務が明らかにしたという点で重要な成果である。しかし、自発的な性売買女性を処罰するようにした点で限界もあったようです。

韓国の「性売買防止法」と日本の「売春防止法」

日本には性売買を取り締まる法律として「売春防止法」があります。この法律が制定されたのは1956年です。戦後、女性団体や当時の国会議員であった市川房枝はじめ女性議員が公娼制度反対に本格的に立ち上がり、売春防止法制定へと進みました。しかし、単純売春は処罰されず、勧誘で処罰の対象になる。人権感覚からしても問題のあるものです。さらに、売春防止法ができても日本では買春はなくなりません。

韓国の「性売買防止法」は日本の「売春防止法」を模してできた旧法である「淪落行為防止法」(1961年)を廃止して、女性だけを非難・問題かする「売春」「淪落」ではなく、買春男性や斡旋者の問題を浮彫りにする「性売買」という新しい用語を作って韓国社会の認識を転換させた(金 富子氏)といわれ、内容はかなり進んだものです。

つづく。

【雑感8/4】

党創立99周年記念講演会がありました。三名の方のメッセージが嬉しかったです。

朝から外環問題で国交省レクに参加し、都庁へ。練馬城址公園のことで建設局と話をしましたが、新たな動きに驚き、開示請求手続きをして講演会に向かいました。外環、練馬城址公園のことは後日整理してお知らせ予定です。

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コメント

    • HAGA,MASAKAZU
    • 2021年 8月 06日 9:12pm

    「『韓国の性売買禁止法とその周辺』を学んで」 を読ませていただき勉強になりました。②以降の続編をお待ちしています。「学ぶ機会」とありますが、誰による講演だったか、機会があれば紹介してください。

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