駆けある記

問題山積みの英語スピーキングテスト②

こんにちは、日本共産党練馬区選出都議会議員とや英津子です。

英語スピーキングテスト報告2回目。

テストの評価方法についての問題

採点の仕方を知って驚きました。採点結果がA~Fの6段階に分けられており、この評価方式は、スピーキングテストのスコアが一点の差であっても、段階別評価では入学者選抜において4点の差になる場合があるということです。

一点を争う入試でこのようなことがあってよいのか。図をみていただけると分かりますが、1点の場合はEで4点、0点はFで0点。1点で4点差がつきます。また、80点から100点はAで20点、65点から79点はBで16点。79点は16点、80点は20点となるのです。

このような入学者選抜評価方法は正確さを欠き、入試には適さないという教育関係者の指摘があります。この問題を指摘すると…。

瀧沢指導推進担当部長 本テストにおける段階別評価は、自分のことについて質問に答えたり、話したりすることができる。身近な話題について、相手と意見交換ができるなど、英語を使って何ができるかを示した基準に従い総括的に評価したものでありA~Fまでの6段階で表したもの。入学者選抜においては、この六段階で提出された評価を二十点を満点とする数値に置き換えて取り扱い、適切に評価することとしております。

と答弁しました。評価方法を説明しているだけ、こちらの問いには答えません。

武蔵大大内裕和教授は「わずか一点の差が合格・不合格を分ける入試において、このような換算の仕方が許されるとは思えません。」と指摘しています。

「話すこと」の能力を測り、日常の学習に生かせるのか?

さらに聞きました。

アチーブメントテストといいながら、答案は総合得点と「ESATグレート」、CEFR(セファール)という参考数値しか返ってきません。これでは本人が自分の得意な分野と不得意な分野を自覚してその後の学習に役立てることはできないのではないか?

瀧沢指導推進担当部長 先ほどらいお話の段階別評価におきましては、それぞれCan-do statementと呼ばれる英語を使って何ができるかということを具体的に示しております。それを個人票で示し、現在の英語の力で何ができるのかということを示している。加えてそれぞれ今後の本人のスピーキングの学習に向けて、どのような取り組みをするべきなのかというアドバイスと併せて提示をしているもので、適切なフィードバックを行っている。

適切といいますが、本当にそうでしょうか。スコアレポートをみると簡単なアドバイスが書いてあります。それにスコアが書いてあり、ESAT GRADE、つまりAからFまでの評価です。さらに参考としてCFERレベルA1とかA2。これだけです。自分のスピーキングのどの分野がどれだけできていたか、できなかったか分からないのです。これでは今後の学習にも役立てることはできないのです。

開示請求に応じられないテスト?

さらに問題があります。

受検者の得点表・答案の写しについて、都立高校入試の学力テストは都教委に開示請求ができます。最近は電子申請もできます。

ところが、本人が自分の得点表や答案の写し(スピーキングについては音声データ)を開示請求しても、渡された以上のものは返ってこないそうです。人が行うのだから間違えもある、それを確認もできないというのは大問題です。

都教委から説明を受けましたが、今年度の都立高校入試で3名の生徒が合格だったにもかかわらず、不合格とされていたことが判明し、三名とも合格にしたという事態が起きました。

ニュースはこちら⇨https://www3.nhk.or.jp/shutoken-news/20220517/1000079984.html

高校入試は生徒に容赦なく厳しい現実をつきつけます。不合格とされた時は本当にショックを受けたと思います。それがあとで合格とと言われてどう思ったか…。

だからこそ正確さ、公平性が厳しく採点者に求められます。そして自分の答案に納得がいかなければ自己情報を開示できるのです。ところが同じ入試なのに英語スピーキングはできないのです。

英語スピーキングは中止以外にない!

次にテストの作成者であるベネッセコーポレーションのことについて質問しましたが、先日、Twitterで批判ばかりで対案がないのか、と意見がきましたのでこの部分について書きます。

英語スピーキングテストは表題にも書いたとおり、問題が山積みです。中止以外にありません。英語を話せるように、世界で通用するようにという期待を持つ方もいると思いますが、入試に活用することは生徒や教師、保護者の負担を増やすだけです。

本当に英語を話すことができ、異文化とふれあい、豊かな人間関係を築くには、なにより英語を伸び伸びと楽しく学べる環境を保障することが最優先です。

ある先生は、中学校が今でも40人学級で、一人ひとりの英語を先生が聞き取り、励まし、指導する機会を毎時間撮るのは不可能だとおっしゃいます。しかし、それでも学期に1,2回は外国人講師との面接テストを行ったり、スピーチや会話などを企画し、人に伝える楽しさ、英語でコミュニケーションすることで異文化体験を味わう機会を作っていると言います。こうした努力が子どもたちの英語力を育てているのです。

一方、新学習指導要領のもとで、英語がかなり高度になり、これまでの二倍の語彙を学ぶことになり、それに加えて高校から降りてきた仮定法、現在完了進行形などの難しい文法事項も扱い、「早々に英語をあきらめていく生徒が増えている」という声が上がっています。

スピーキング力をつけるためにも現在の二学三展開での授業から一学級二展開にして、効果的な授業を行うことを求めました。

瀧沢指導推進担当部長 中学校では、授業において、ペアワークやグループワークなど様々な学習形態を工夫しているほか、ICT機器の活用により、英語が堪能な地域人材や他校の生徒と英語を用いた交流を実施するなど、それぞれの先生が工夫して、学習集団の規模にかかわらず、様々な形態の指導を効果的におこなうことにより、スピーキング力を伸ばしている。

現在、少人数指導をやって効果が上がっていると言っているのに、学習集団の規模にかかわらずスピーキング力が伸びるというのは矛盾しています。

小規模な集団で、教師が生徒一人ひとりに目が届けば丁寧に教えられることははっきりしています。

先生たちからたくさんの声が届いています。「授業ではやることが多すぎて時間が足りません。」「テスト対策に特化したスピーキング練習が入ることで、基礎基本を学ぶ時間が削られ、かえってスピーキング力が落ちることが予想される。」「ますます英語嫌い、苦手感を持つ生徒が増え、塾通いができる家庭と経済的に厳しい家庭との格差が拡大し、二極化がさらに進むことも危惧しています。」「もっとじっくりと、豊かに学ぶ中で、真のコミュニケーションができる力を育てたいと願っています」と。

英語スピーキングの入試活用には、二回で書いた他にも多くの問題点がありますが、いままで書いた問題点だけでも十分中止の材料があります。英語スピーキングはきっぱり中止し、生徒も教師ものびのびと楽しく授業の中で英語を楽しむことができ、その中で力をつけてゆけるような教育へと転換することを求めました。

つづく

 

 

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