地域防災計画素案に対する申し入れ

 日本共産党練馬地区委員会、松村友昭前都議会議員事務所、区議団連名で、今年1月10日に地域防災計画素案に対する申し入れを行いました。
 特に問題なのが、自己責任論が前提となっていることです。区民が自分の命は自分で守るのは当然ですし、地域の人たちがお互いに助け合うことも今後さらに培っていかなければならないことです。
 しかし、区の防災計画です。まず区として区民の命を守るためにどうするのか、ここが全体として貫かれていなければならないと思います。こうした立場にたてばこれまで見えなかったことも見えてきます。そして、被害を最小限におさえるための予防対策に大きな力をそそぐ事が求められています。
 ところが、区の防災計画素案は抜本的修正を行うといいながら、従来の延長線上で、抜本的に修正しているとは思えません。
 以下、申し入れの全文を紹介いたします。回答は改めて掲載致します。
練馬区地域防災計画23年度修正(素案)に関する申し入れ書
練馬区長 志村 豊志郎殿                                 2012年1月10日
                                   日本共産党練馬地区委員会
                                   同 松村友昭前都議事務所
                                   同   練馬区議会議員団
 東日本大震災は、改めて防災の最大の使命が人命・安全を守ることであり、災害の予防がいかに大事かを示しました。こうした立場で、区が2011年12月に発表した練馬区地域防災計画23年度修正(素案)のⅠ防災本編について、私ども日本共産党が検討した修正・補強および追加すべき新たな項目の実現を要望するものです。
第1部 総則に関する要望
1、命を守るのは第一に「区民の自己責任」とする立場を改め自治体の責務を明記すること

 修正(素案)全体を通して、防災は区民の「自己責任」が基本とする立場を改め、区民の命と財産を守るのは自治体=公共地方団体の基本的使命であり、それが区の責務であることを区民に明確に示すよう、第1章、第6章など該当部分を修正すること。
理由-
 修正(素案)は第1章で、災害対策の再構築における視点として自助、共助、公助をあげ、その相互の絆が基本としながら、第6章第1節一区・区民・事業者の基本的責務の項で「第一に『自らの生命は自らが守る』という考え方」、第二に地域における助け合いによって「自分たちのまちは自分たちで守る」という共助の考え方、この二つの理念にたつ区民と、公助の役割をはたす行政とが、それぞれの責務と役割を明らかにし、連携を図っていくことが欠かせない」とし、肝心の区が役割は何かは示さないという「防災は区民の自己責任」の
立場を押し付けています。
 災害に対して区民が自分の命を自分で守る、互いに助け合って守るのは当然であり、同時にそれには限界があることは明らかです。そのため区に使命としてまず求められるのは、国の災害対策基本法で求められている「住民の生命、身体および財産を災害から保護する」ことです。これは地方公共団体という機関に課せられた責務、自治体の基本的使命です。
 修正(素案)は第6章第2節で、この使命を区長の責務としていますが、区長はそれだけに止まらず、行政の長としてこの使命をはたす確固たる姿勢にたって計画をたて、それを区民に示して実施することが最大の役割です。
 区の責務に区民の自助への支援、助成が含まれることは当然であり、区の責務があってこそ、個々の区民の自助や共同もより広く、より自覚的に推進できること、一方、区民の自己責任を第一とするのでは自助も共助も徹底しない結果になることは明らかです。
2、大震災の教訓として、災害予防第一の防災計画とする姿勢を明確にすること
理由-
かつての革新都政時代、1971年の「東京都震災予防条例」では「震災は自然現象であるが、震災による災害の多くは人災である」と明記され、震災の予防対策に力が入れられました。そして阪神大震災では大都市部での災害予防の重要さが示され、さらに今回の大震災では、それがなにより大きな教訓となりました。この点で、昨年の第2回定例会のわが党の質問に対する答弁で区長は「とりわけ、地震被害を最小限に抑えるため、起こりうるあらゆる事態に備え、予防対策を講ずることの重要性を改めて痛感した」と述べています。
ところが、今回の計画修正(素案)では、総則の基本的な考え方でも、災害対策の再構築の視点でも予防重視の修正は全くみられず、第3章の防災計画修正の方針では、目だった修正は区民の自己責任論の展開だけです。具体的な修正の項目をみても、災害予防計画の項目では、とくにハードな災害予防対策はほとんど修正なしです。
東日本震災の教訓をうけて今年夏に決められる新しい東京都の災害想定を踏まえて再修正を行うにしても、今日の計画修正で予防の重要性という教訓に全くふれず、考え方でも具体的計画でもその姿が見えないということは許されません。
大震災を受けた初の修正だからこそ、防災の最大の使命は命を守ることであり、そのため決定的に大事なことは予防という点を明確にし、起こりうる最大の災害に備える姿勢を示すべきです。
第2部 災予防計画に関する要望
1、減災目標は「一人の死者もださない」構えで取り組むこと
理由-
 素案は10年で死者・負傷者は半減、避難者は3割減の目標ですが、これでは区民に不審感を与えるだけです。東京都の新しい被害想定がでたら再修正するにしても、現時点で新しい基準が現行のM7・3を下回ることはないと推定され、今は起こり得る最大の被害に備え
  ることが求められているのに、とくにハード面の災害予防計画では事業計画がほとんど従来のままで、たとえば切実なマンション問題がないなど、大変消極的な姿勢と言わざるを得ません。この点を思い切って正し、数的な文字色目標表示に拘らず、少なくても「一人の死者もださない」ことをめざし、そのために必要な対策を計画化し、今から取り組むべきです。
 2、第1章 防災都市づくり計画に関する要望 
 第1節 防災まちづくり推進の要望
   第2項、防災地域・準防火地域の指定について

 指定地域はH8年と比べ若干増やしているが、面積だけでなく箇所数も明らかにし、対象箇所の拡大を検討すること
 第3項、都市防災不燃化促進事業の推進について 
 
 事業実施地区だけ2か所あげているが、幹線道路脇だけでなく巾ひろく避難地域までひろげ、不燃化率70%をさらに高めること
※新たに次の項目を第4項として起こす
   第4項 液状化・地盤対策について
   素案の第1部総則の第1章の2で指摘されている「地震による被害は練馬区全域が一様
でなく、地域により差異が生じることを前提とする」必要性は全都的にも言えることで、
液状化・地盤問題を調査もせずに練馬は大丈夫とすることはできない。
 この立場で、区は東京都や民間機関協力を得て、区内の住居などの地盤の現状(地質柱状図)や過去の土地履歴などを調査し、必要な場合対策をたてること。また、その情報を閲覧などで区民が知ることができるようにすること。
 大地震時に滑動崩落等の恐れがある大規模盛土の変動予想調査を行うこと。
区民自らが宅地地盤の診断および改良工事を行う場合に、必要な技術的援助と費用の助成などを行うこと。
理由-3・11の地震発生時には、地盤が軟弱な都東部地域だけでなく、杉並など区西部、さらに多摩地域の丘陵部100か所近くで震度5強が記録され、八王子丘陵部では震度6も観測されました。今後想定の対象となる立川断層帯地震では、中央防災会議専門調査会の想定震度7が想定されています。国土交通省は「既存造成宅地擁壁の耐久性に関する実態調査」を行い、築後30年を越えると危険度が半数以上になることを確認、宅地養壁は築後40年を越えたものは必ず目視による劣化調査を行うべきと呼びかけています。
第2章 住宅および建築物の耐震計画に関する要望 
 第3節 民間建築物の耐震性確保について、下記の項目を加えること
 
 ●住宅の耐震化について、助成摘要範囲が違法建築の家は現在除かれていますが、規制を緩和し、対象を広げること。とくに建て替えが必要な家については、耐震・耐火のためと認められるものはもちろん、財政等の困難があっても耐震・耐火上やむをえず建て替えする場合は助成の対象とすること。
  ●助成額を全体として増額すること。
  ●後方医療機関の耐震化の遅れを重視し、期日もきめ、早急に100%達成するよう努力すること。とくに区の医療救護体制に繰り込まれている医療機関には優先的に対応すること。
  第4節 ブロック塀等の倒壊防止について、関連要望として下記の項を加える  
●ブロック壁など擁壁について、本人の希望により①耐震化への助成、②改修工事で生まれる瓦礫処理への助成、のいずれかを選択実施できるようにすること。
   理由-耐震化のため、助成のないブロック壁を助成のある生け垣にしようと思うが改修工事による瓦礫の処理に金がかかるからと躊躇する状況がみられます。結果として、それが耐震化の穴とならないよう、上記の二者択一の助成制度を要望します。
  第7節 エレベーター対策について以下の項を補強すること   
 2の基本的考え方のなかで、
   ●②地震時管制運転装置の設置の項に「停電時自動着床装置」の設置を加える。
   ●自家発電装置の設置を推進する
第3章 施設構造物等の災害予防計画に関する要望 
 第2節 高層建築物の計画について
    ●2・指導方針の(5)項の「非常電源の耐震装置」とあわせ「自家発電装置」を加えること
   ※新たに次の項目を第2節の2として起こす
    第2節-2 マンションの耐震化について
     第2節の内容をうけた形で、関連特別項目として「マンションの耐震化」の項を設け、
     以下の計画を実施すること。
①全棟調査を、東日本大震災と来るべき大震災への備えのそれぞれの角度から詳細に行い、ふさわしい対策を進めること。
②マンションの耐震診断・改修への助成率・上限を引き上げ、改修を行う管理組合の費用軽減を行うこと。人命を守る立場から、共用部分やマンションの1、2階部分の耐震化など部分改修についても助成するなど、制度の拡充を行うこと。
③エレベーター閉じ込め防止装置の設置について、既存マンションを含めて義務づけを検討し、助成を行うなど、エレベーターの地震対策を強化すること。
④家具、電気温水器、受水槽、高層水槽などの転倒防止を呼びかけ、必要な支援を行うこと。
⑤備蓄倉庫の設置、震災時に避難所となるマンションとの協定締結を進めるとともに必要な支援を行うこと。
  理由-全都的に非木造共同住宅の耐震化率は09年度末で84.9%で、約46万戸が耐
震性が不十分であると推計されています。耐震性が不足とされる新耐震基準以前のマ
ンションのうち、耐震診断を行っていないものも平成9年度都市整備局調査で17・3
%にのぼっています。東日本大震災では、都内でも、断水、外壁の亀裂・剥離、エレ
ベーター閉じこめ、液状化などの被害が発生しており、マンションの耐震診断・改修
促進も緊急の課題といえます。
第3節 水道施設の計画について
-各施設の耐震化とあわせて、2の(5)として下記の項を補充する。
 (5)自家発電設備の設置、マンホールの浮上防止など推進する
第5節 電気施設の計画について
-3の防災計画のなかに下記の項を補充する
●病院や学校、避難場所・避難所、社会福祉施設はもとより、幼稚園、保育所などの自家発電設備の設置を支援すること。
●電線類の地中化を促進し、電柱の倒壊による停電や道路閉鎖を防止すること。
●震災による停電時にも自立運転により電気使用が可能な太陽光発電、また電気・水道停止時にも、非常用水としてタンク内のお湯が使用できる太陽熱利用機器の設置を促進すること。
第6節 ガス施設の計画について
-2の(5)として下記の項を補充する。
(5)東京ガスの経年管や震災時にガス漏れを引き起こしやすい白ガス管の取り替えを
はじめ、設備耐震化の実施状況を点検し、より規模の大きな地震への対応を図るよう求めるとともに、復旧計画の差異検証を求めること。
第5章 地域防災力の向上計画に関する要望
第1節 区民相互、区民と区の絆の強化について、下記を書き加える。
●公私立小・中学校の教職員および区内土建業者、商店街が災害時の対応の核となって活動できるよう、日常的な防災教育、訓練を行うこと。
理由-小・中学校や商店街が地域住民のコミュニティーを構築する場として日常的に機能してきており、ここに地元の土建業など災害時に力を発揮する事業所などが加わり、日頃から共通認識をもつことは、予防の観点からも災害復旧・復興の点からも有効だと考えます。
第4節 区民防災組織について
-5・活動の(1)防災会の活動①平常時の5項目のほかに下記の項を追加する。
●住民による地域の危険要因の点検と安全化をはかる取り組みを進め、支援すること。
第3部 災害応急対策計画に関する要望
第9章 医療救護活動に関する要望
1、「医療救護体制の流れ」に以下の諸点を補充する。
●災害拠点病院は、近い将来、現在計画を進めている区西部における500床規模の病院を加え、区全体で3か所とする。
●少なくとも透析医療機関(3か所)、災害時応急救護医療機関(11か所)、災害支援医療機関(8か所)には、災害時の停電に備え自家発電機を設置する。その他、必要な医療機関にも同様の措置をとる。いずれも区が助成する。
第10章 災害時要援護者対策に関する要望
理由-家族の状況とかプライバシーのこともあり、素案の登録制度で徹底することが必要と思いますが、これで、いわゆる「災害弱者」を守り抜くことができるか不安です。素案の登録制度の取り組みとともに、下記の計画を加えます。
①聴覚障害、視力障害、精神障害、発達障害、知的障害、肢体不自由、人工透析患者、人工呼吸器利用の重症心身障害児者や難病患者など障害者や難病患者、認知症や要介護の高齢者、乳幼児などに対するきめ細かい災害時体制を、当事者・家族の実態、要望を十分にふまえて確立すること。
②区と地域の町会・自治会、福祉サービス事業者と協力し、要援護者一人ひとりに対する災害時の個別支援計画づくりをすすめること。
第11章 帰宅困難者対策に関する要望 
区の計画に下記の項を補充すること
 第3節の1-区による支援について
 ●前文の補強-大地震は発生したときには「むやみに移動を開始しないこと」が安全確
保の原則であることを区民、事業者等に周知する。同時に、安心してこの原則を実行できるよう、企業、学校、幼稚園、保育園などとその家族との間の安否確認・通信手段の確立、食料など必要な物資の備蓄などの支援をする
  ●(4)として補強-安否確認などの連絡が確実にできる通信手段、通信システムを、通信事業者と協力して確立すること。これを学校、福祉施設、中小企業などが導入できるよう、財政支援を行うこと
    理由-東日本大震災当日の各地の経験は、上記の周知と備えがほとんどなされていなかったことを浮き彫りにしました。とくに学校、幼稚園、保育所、通所福祉施設
    などでは、保護者との連絡困難、お迎え・送迎の混乱があり、特養ホームなどでも職員の帰宅・出勤困難が広く発生しています。
                                             
   
◎練馬区地域防災計画平成23年度修正に「Ⅲ 原子力・放射線災害編」を加える
内容について
●現行の東京都地域防災計画の「原子力災害編」が今回の福島原発災害の教訓から、抜本的見直しが行われるはずである。それにもとづき練馬区として必要な具体化を図る。
●とくに放射線災害については、浜岡原発での原子力緊急事態の発生を想定し、区としてその重大な影響から区民の生命と財産を守るための計画または指針を策定する。その際、原発を廃止するため力をつくすことを明確に示すこと。
理由-練馬区も福島原発事故による放射線被害を受けており、区民の不安は非常に大きいものがあります。東京都には原発はありませんが、近くに静岡県の浜岡原発があります。現在稼働が一時停止されていますが、津波対策の防潮堤が完成すれば政府は稼働再開の方針を示しています。かりに廃炉されても核燃料処理など危険性は続きます。
浜岡原発は停止中の3基がいずれも100万kw以上の巨大原発で、5号機は138万kwと日本最大の超巨大原発です。こうした超巨大原発が重大事故を起こしたときの被害は、福島原発よりケタ違いに深刻なものとなります。これが、東海大地震の想定震源域の真上にあり、しかも東京からの距離は福島原発より近いのですから、いっそう深刻だと言わなければなりません。
                                            

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